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てっしゅう
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神のいたずら 第六章 新しい恋

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「詩緒里ちゃん、近藤先輩への返事書いたの?」
「うん、書いたよ・・・渡してくれる?」
「いいよ、いい返事くれるといいね」
「きっとダメよ・・・ブスだもの」
「そんなふうに思わないの!言ったでしょ」
「ありがとう・・・碧」

その日の練習が終わってから、そっと碧は詩緒里からの手紙を近藤に手渡した。

次の日の朝、つまり手紙を渡した翌日に上田は校門の前で碧を待っていた。詩緒里と並んで登校して来た碧を見つけて、上田は声を掛けた。

「おはよう、碧ちゃん・・・昨日は返事ありがとう。すごく嬉しかった」
詩緒里は気を利かせて、「先に行くから」と教室に向かった。
「上田くん・・・おはよう。手紙ありがとう、碧は嬉しかったよ」

話しながら教室に向かった。すれ違うみんなからじろじろと見られた。一組の入り口の前で、「じゃあ」と言って別れた。教室に入ると詩緒里が、「ねえ、上田くんと何か約束したの?」そう聞いてきた。碧は、「何も」そう返事して机に座った。

前に座っていた達也が振り向いて、
「なんか噂になっているぞ、二組の上田と。どうしたんだ?」
「いいじゃない・・・友達なんだから」
「別にいいけど、勉強はおろそかにするなよ」
「心配してくれるの?私のこと」
「当たり前じゃないか。お前に頑張ってもらわないと、張りがなくなるからな」
「そういう事・・・なら、心配しなくていいわよ。二学期も一番になって見せるから」
「たいした自信だな・・・負けないから」

となりで聞いていた詩緒里が、
「碧は勉強のライバルと恋のライバル両方になったわね、達也くんって」笑いながらそう言った。
「ライバルじゃないよ、詩緒里ちゃん・・・ライバルじゃない、どちらもね」

達也は確かに一年では勉強が良く出来る。しかし、今は碧のライバルなんてレベルじゃない。恋にしても自分から放棄したようなものだから、ライバルなんて思ってないだろう。詩緒里は人の心配するよりも自分の相手を心配したほうがいい、と心の中で思った。


授業が終わって部活に向かうその途中で上田は走って碧の傍に来た。
「碧ちゃん、待って・・・」
「上田くん、何?」
「ねえ・・・本当にボクでいいの?」
「何が?」
「付き合ってくれると言うこと」
「うん、友達からだよ」
「じゃや、どうやって話せばいいの、そのう・・・逢いたい時とか?」
「携帯持ってる?」
「持ってないよ、まだダメって言うから」
「部活何やっているんだっけ?」
「卓球だよ」
「そう、帰り一緒に帰ろう。校門のところで待っててよ。帰り時間だいたい同じぐらいでしょ?用事がある時は先に帰っていいから」
「ああ、そうしよう・・・同じ体育館だから、終わりがわかるよね」
「そうだね・・・同じ体育館だったね。じゃあ、着替えないといけないから・・・」
「後でな」

碧は練習に入る前に近藤に呼び出された。
「先輩、なんですか?」
「小野か・・・この前の手紙の返事だ。詩緒里ちゃんに渡しておいてくれ」
「はい・・・解りました。預かります」
「頼む。じゃあ練習に入れ」
「はい」

男子と女子の練習場所は違っていた。卓球部は入り口の奥、体操部は手前でそれぞれ練習していた。他にはバスケットとバレーが使っていたので、いっぱいいっぱいのスペースになっていた。碧はまだ準備体操と身体を柔らかくする柔軟運動が主で、二学期からいよいよ競技に入ることになっていた。初めてではなかったが、鉄棒や平均台、床運動など思ったより難しいと感じていた。十分に身体をほぐさないと怪我をすると何度も言われている。完全ではなかったが両足を左右に180度開いて身体を床につける程度は出来るようになっていた。

体育館の鍵を閉めないといけないから練習時間は、ほぼ決まって6時に終わっていた。汗を拭いて着替えて下校する碧を上田は校門で待っていた。

「待った?」
「少しね・・・今日は床運動していたね」
「見てたの?」
「見えたんだよ・・・前は柔軟運動ばっかりだったんじゃない?」
「よく見てるのね」
「気にしてたから・・・碧ちゃんのこと」
「上田くんたら、なんかやらしい・・・」
「何で?見てただけだよ」
「どこを?」
「全部だよ」
「まあいいけど、あまり見ないでね。先輩に怒られるわよ」
「先輩だって見てるよ。キミや体操部の女子のこと」
「そうなの?男子ってみんな、やらしいのね」
「違うって!おれは・・・他のみんなとは違う」
「そういうことにしておきましょう・・・家はどっちなの?」
「下落合だよ」
「じゃあ、この先分かれるね」
「そうだな。また明日も帰りは一緒だよな?」
「そうだね、じゃあ、明日」
「ああ、じゃあ、バイバイ・・・」

高橋は詩緒里になんて返事を書いたのだろうか、とても気になっていた。中を開けて見る訳にゆかないから、早く明日詩緒里から答えを聞きたいと楽しみにしていた。

朝の待ち合わせ場所に詩緒里は来た。
「おはよう!」
「ねえ、これ預かってきたわよ、高橋先輩から」
「ありがとう!どうしよう・・・いつ見ようかしら・・・」
「いま見ようよ・・・」
「いま?」
「早いほうがいいよ、どちらにしても」
「嫌な言い方ね・・・ああ・・・ダメだ、自信が無い」
「見せて!読んであげるから」
「自分で見るわよ」

カバンを碧に持たせて、詩緒里は封を開いた。

封筒の中身に書いてあった言葉は詩緒里にとって意外だった。と言うよりも期待していた通りのことだったからだ。

「碧・・・先輩、付き合ってもいいって書いてある」
「ウソ!ほんと、見せて・・・」
「本当だ!やったじゃない。見る目あるのよ先輩は・・・気持ちに惚れたのよ」
「それって、見た目はバツって言う意味じゃないの?よく考えたら」
「違うよ、詩緒里ちゃんの気持ちに答えてくれたって言うことだよ・・・純粋な思いが通じたのよ」
「そうなの・・・でも、嬉しい!夢見たい・・・・信じていいのかなあ。騙されたりしないかなあ・・・」
「いまからそんなこと考えているの。始まんないじゃないの、そういう気持ちじゃ?」
「そうだけど・・・碧には解らないでしょうけど、外見に自信がないとそう感じられるのよ・・・遊びじゃないかって」
「高橋先輩はいい人よ。そう感じられる。大丈夫よ、詩緒里のこときっと好きになってくれるよ」
「そうよね・・・そうだわ。私尽くしちゃうから・・・何でもする」
「あらあら、さっきとはえらく違うのね、ハハハ・・・バカみたい」
「女心は変わるのよ・・・秋の空って言うでしょ?」
「そんな身勝手な発言・・・先輩がかわいそう」
「先輩のために変わるんだから、それでいいんじゃないの」
「そうしておきましょう。とにかく良かったね」
「碧こそ、上田君とは?」
「帰り一緒に帰る事にしたよ・・・部活終了してから」
「毎日?一緒に帰るの」
「そう、練習場所も体育館で同じだから時間が合うしね」
「そうなんだ・・・卓球部だったよね上田くんって?」
「うん、そうだよ」
「碧もきっと仲良くなりそうね・・・そんな感じがする」
「本当?・・・まだわかんないけど、優しそうな感じはするね」
「勉強はどうなんだろうね・・・学力が気にならない?碧は」
「気にしないよ。成績なんか人物評価の一部だものね」