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てっしゅう
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神のいたずら 第六章 新しい恋

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「解ってるよ・・・でも同級生だからって何もしないって言うことにならないよ」
「そう考えること自体がもうすでにおかしいの!いいお友達って言ったでしょ。碧がもっと女性らしくなったら自分の判断で恋愛が出来るようになるから、それまでは友達でいればいいのよ」
「まだ女らしくなってないって言うこと?」
「どう見ても当たり前じゃない?お姉ちゃんの言うこと間違っている?」
「ママみたいなこと・・・言ってる。碧のこと子供扱いしているし」
「いい、よく聞いてよ。心と身体は成長期にはバランスがうまく取れないで不安定になることがあるの。今の碧はそうなっている。身体がもう少し成長するまで、深い付き合いをしてはダメ・・・きっと後悔するから」
「何でお姉ちゃんには解るの?」
「・・・怖い思いをしたから、中学のときに」
「どんな?」
「誰にも話してないから、言わないでよ。話したくないけど碧にだけは言っておくから」
「男の子に嫌な事言われたの?」
「そうじゃない・・・されたの。友達だって思っていた先輩に、誘い出されて突然」
「何されたの?」
「碧、ちょっと待って・・・思い出したらなんだか怖くなってきた・・・ゴメン」

弥生の様子がおかしい・・・身体が小さく震えているようだった。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん・・・もう言わなくていいよ・・・大丈夫?・・・」
碧は弥生の傍に寄り添った。

弥生は中学二年から友達付き合いをしていた一つ上の先輩と三年になっても交際していた。高校の話を聞き、進学の相談もしたりして、仲の良い友達だと思っていた。手を繋ぐぐらいから発展せずに先輩は付き合っていてくれた。ところがその日、呼び出されて、何の疑いもなく先輩の家に遊びに行って・・・

「話せるようになったから、大丈夫よ。夏休みだった。先輩に呼ばれて家に遊びに行ったの。両親が留守で二人きりだったけど何の疑いもせずに部屋に入り話をしていたら・・・急に傍に来て・・・いいだろう、好きだから、そう言って抱き付いてきたの・・・」
「お姉ちゃん好きじゃなかったの?」
「好きだったよ、先輩はかっこよかったし、優しかったから」
「じゃあ・・・自然の成り行きじゃなかったの?」
「自然じゃないよ。急にだったから。それにそんなことして欲しいなんて思わなかったし」
「三年だったんでしょ・・・遅くなんかないよ」
「碧のようには考えていなかったから、ビックリして・・・逃げたの。でも捕まえられて・・・服脱がされて・・・ハアハア言って先輩も裸になって・・・」
「すごい・・・そんなことがあったの・・・」
「大声で泣いて・・・止めてって叫んでた。あまり騒ぐのでバツが悪くなったのか、脱がせた服を拾って返してくれた。直ぐに着て、走って帰ったわ・・・もう何にも考えられずに・・・走って、走って・・・」
「だから碧にそうなるっていつも言ってくれるのね・・・」
「男の子は高校生ぐらいになるとそうなるっていうことなの・・・私もせめて同級生ぐらいだったらもっと先輩に強いことが言えただろうし、こちらの話も聞いてくれただろうから急にあんなことにはならなかったって思えるしね」
「うん、いやな事話してくれて、ありがとう・・・やっぱりお姉ちゃんは碧のこと一番心配してくれているって感じた」
「そうよ、あなたには決してあんな怖い思いをして欲しくないから・・・お姉ちゃんは逃げ出したけど、もしあの時強引に最後までされていたら、こうしてないよきっと・・・閉じこもってしまったか、不良になっていたかもしれない」
「碧はお姉ちゃんの思いも知らないで、のんきな事を言ってきたのね・・・正直に言うけど・・・好きな人と一緒に遊んだり、抱き合ったり、キスしたりしたいの・・・女って感じていられるから・・・」
「碧は何歳?」
「えっ?何でそんなこと聞くの?」

「そんなことしっかりとした大人の言う台詞よ・・・お姉ちゃんだってそこまで思ってないから」
「おかしい?碧は・・・普通じゃないの?」
「普通じゃないわよその年でそんな事言うのは。お姉ちゃんだからいいけど、ママやパパが聞いたらショックを受けるわよ」
「言わないよ、パパやママには・・・」
「ねえ?どうして男の子がそんなに気になるの?」
「どうして?・・・恋をしたいから」
「どうして恋をしたいの?」
「えっ?好きな人と一緒に居たいから」
「好きな人と何がしたいの?」
「何が?・・・そこまで思わないよ。さっきも言ったけど、抱き合ったりキスしたりして時間が過ごせれば幸せって感じられそうだから」
「碧は考え方は大人なんだね、お姉ちゃんなんかより・・・私はその時のショック以来男の人とは話は出来てもそれ以上は進めない・・・またあんなことになるって思うから」
「それで・・・自分でしてるの?」
「なにを?」
「前に言ってくれたじゃない・・・自分でするって」
「ああ、そのこと・・・そうじゃないけど・・・淋しいときなんかはしてたかも知れない」
「今は?」
「何で聞くの?」
「お姉ちゃんダメって言ったけど・・・男の人とそうならないから、碧もする」
「変な子ね、そんなこと言わないで勝手にするものよ普通は」
「お姉ちゃんには何でも話すよ、碧は。そう決めたから・・・解ってくれないだろうけど・・・よく解らないの自分のことが」
「何が解らないって思うの?」
「身体のこと・・・」
「たとえば?」
「お風呂で石鹸使って洗っていいのかとか・・・」
「どこのこと?」
「おしっこするところ」
「洗ってないの?ばい菌入るわよ、清潔にしないと。特にこれから生理が来たら」
「うん、そうする・・・」

不安はたくさんあったが、弥生に聞けば何でも答えてくれると安心出来た。そして姉の隠された不安感を、自分が何とか解きほぐしてあげることが出来ないかと考えるようになった。


碧はラブレターをもらった二組の上田に返事を書いて渡した。詩緒里が、「ねえ、どう返事書いたの?」と聞いてきたから、「うん、友達ならいいよ、と書いて渡した」と答えた。

「ビックリ!それって付き合うって言うことなんじゃないの?」
「友達としてね。どんな子なのか解らないから話してみて仲良くなれたら付き合うかもしれないわ」
「面食いじゃなかったのね碧は」
「当たり前じゃない!男の人って顔じゃないわよ」
「へえ〜大人っぽいじゃん、その答え」
「だって、大人だモン!」
「どこが?まだ少女のくせに・・・」
「それを言わないで!もう・・・気持は詩緒里ちゃんより大人なんだから」
「確かにそうだ・・・高校生にナンパされるぐらいだから、碧は」
「それを言うのは止めてよ。詩緒里ちゃんだってカッコいい人に声掛けられたら、気持が変わるから」
「そうかな・・・近藤先輩なら、全部あげてもいいわ・・・」
「何をあげるの?」
「しらばっくれて・・・知っているくせに」
「詩緒里ちゃんはすごい事言うのね。ビックリした」
「そう、みんなそんな話しているわよ。あなたが加わってないから知らないだけよ」
「そうなの・・・やっぱりね」

碧は同年の女の子なら興味は男子にあると思っていた。姉にまだ早いって言われたが、みんなだってもうそんなこと話したり、考えたりしているのだ。自分が早い訳ではないと改めて思った。