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てっしゅう
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神のいたずら 第六章 新しい恋

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「達也君は関係ない・・・もうクラスメートだけだから」
「えっ?そうなの・・・好きじゃなかったの?」
「向こうが逢わないって言うんだから・・・仕方ないじゃん」
「そんな簡単なものだったの・・・」

姉に言われて諦めの早さを少し恥じた。達也に何を求めていたのかはっきりと解ったから、逢えないのなら好きじゃなくなったのだ。

碧は弥生に言い出せなかった。富士急ハイランドで知り合った人と交際するなんて・・・結局ナンパされたんじゃないの!と言われかねないからだ。

「まだ言えないの・・・ほんとうに・・・何もない人だし」
「碧、何もない人と何回もメールするの?逢いたいって言って来てるじゃない!お姉ちゃんは碧のことが心配なの・・・ね、話して・・・」
「・・・富士急で声かけられた人、貴志さんって」
「やっぱり・・・聞いたことがある名前だと思っていたけど、そうだったの。今日会ったの?」
「偶然だよ・・・詩緒里ちゃんと原宿に行った時に、マックで偶然会ったの」
「それで、メール交換したのね・・・高校生だったわよね。碧、聞きなさいよ。相手はもう子供じゃないから達也君みたいにもたもたしてないかも知れないよ。二人で会い続けたら・・・きっと求めてくるよ・・・解るでしょ?お姉ちゃんの言うこと」
「うん・・・いけないの・・・」
「何度も言わせないで!まだ早いの、あんたには・・・どんなことするのか知っているんでしょ?」
「知ってるよ・・・」
「お姉ちゃん許さないからね・・・碧がその貴志君と会うことは・・・メールアドレス削除しなさい」
「碧は・・・もう大人よ。お姉ちゃん何にも解ってくれない・・・貴志さんそんな人じゃないよ、優しい人だから」
「バカ!あんたの身体が目的なだけよ・・・何も知らないで。傷つくのは碧だけなのよ。絶対に許さないから・・・覚えて置きなさいよ」
弥生は強い口調でそう言って部屋から出て行った。

悲しくなるというよりは自分の未熟さを嘆いた。この身体がせめて15歳ぐらいだったら、恋も好きなように出来るのに・・・そのことが悔しかった。弥生が自分のことを大切に考えてくれていることが痛いほど解っているから、それも辛かった。自分が何でこの年でこんなに男性が気になってしまうのか、隼人の心では理解出来なかった。きっと碧の女の部分に隼人の魂が完全に入り込んでしまったからなのだろうか・・・もう女性を見ても同性としか見えなくなっていた。

泣いても泣いても涙が止まることは無かった。すすり泣く声が聞こえていたのか、弥生はしばらくして碧の部屋に入ってきた。姉の顔を見るなり、すがり付くようにして泣いた。

「お姉ちゃん・・・」後は声にならなかった。
「碧・・・あなたが憎くて言っているんじゃないのよ。嫉妬なんかでもないの。弥生の大切な妹だから・・・悲しませたくないの。パパやママにも心配かけちゃダメ。今は学校でしっかりと勉強する時期よ。東大に行くんでしょ?頑張らなくちゃ。達也君に負けるわよ・・・お姉ちゃんもきっと早稲田に合格して見せるから・・・二人で頑張ろう」
「お姉ちゃん・・・碧はどうかしていた。早く大人になりたいって、そのことばかり考えていた。大切なものを失うところだった・・・」
「良かった、解ってくれて。もう大丈夫?一人で寝られる?」
「いや・・・一緒に居て・・・」
「そう言うと思った・・・甘えん坊さんだから」
「お姉ちゃん・・・笑わないで・・・」
「なんか最近あんたのこと可愛いって感じるの。不思議よこんな気持、母親でもないのに。母性本能をくすぐる力を持っているのね碧は。男の子みたい・・・きっとママもそう感じているんだと思うわ」
「男の子みたい・・・?」
「うまく言えないけど・・・そう感じるときがあるの」
「ふ〜ん・・・」碧は着ていたパジャマを脱いで弥生に見せた。
「何してるの!脱いだりして」
「女の子だよ、ほら見て・・・ついてないでしょ!」
「当たり前じゃないの!もう直ぐ本気にするんだから・・・服来なさい」
「お姉ちゃんが変な事言うから証拠見せたのよ」
「恥ずかしいって言う事を知らないのね、あんたは。いくら姉だと言っても自分の大切なところを見せたりは普通出来ないよ。そういうこともこれからは止めなさいよ。いい?」

恥ずかしいという感覚が薄かったかも知れない、そう隼人は思った。きっと身体が大人になってきたらより強くそう感じるかも知れない。姉の優しさに包まれながらいつしか眠ってしまった。貴志とは会わない・・・そう決めていた。

碧は携帯から貴志のアドレスを削除した。もうこれでメールは来ない。そう思うと少し寂しく感じたが・・・いまはそうする事が大切なことだと理解した。

学校に行っても以前のように達也と親しく出来なくなっていたから、もっぱら隣の席の詩緒里と話すようになっていた。クラスには二人の関係がなくなったと、つまり別れたと言う噂が広まってきた。碧はそんな事を気にする様子はなかったが、自分を見る男子の目が以前とは違っているように感じ始めた。

昼休みの時間に詩緒里と一緒に校庭で話しをしていると、一人の男子が近寄ってきて手紙を渡した。
「これ・・・読んでくれ」そう簡単に言い残して走り去っていった。
「変な子ね」詩緒里はそう言って手紙を見た。宛名には「小野碧さんへ」と書いてあった。
「なんだ!自分宛じゃなかったわ・・・はい、碧これ」
「ありがとう。なんだろう・・・」

その場で開けて中を見た。

「二組の上田君って書いてある・・・」
「それだけ?ちょっと見せて」詩緒里は横取りして見た。
「あら!これ碧に告ってるんじゃない。付き合ってください!って書いてあるじゃん」
「もう、詩緒里ったら・・・読んだりして」
「きっと達也君と別れたことを誰かから聞いて告白してきたのね・・・これからきっとたくさん言い寄ってくるよ・・・どうする?」
「うん、困ったなあ・・・誰とも付き合う気が無いから」
「うそ!貴志さんだっけ?高校生の人、どうしたの?」
「会わないって決めた。まだ早いから・・・」
「そう・・・なんだ、がっかり」
「どうしてがっかりなの?」
「だって・・・どんな風になるのかなあって興味があったから」
「酷いのね、興味本位で見るなんて・・・」
「ゴメン・・・本気で言ってるんじゃないのよ。それより、この方法で私も先輩に告白してみようかな・・・近藤様へ・・・って」
「それがいいかも・・・私が渡してあげるよ!」
「うん、そうして・・・」

碧は本当は恋がしたかった。好きになった人と手を繋いで、キスして・・・そのプロセスが女でいられる時間なんだと思っていたからだ。

家に帰って弥生に今日のことをどうしようかと尋ねてみた。
「となりの組の男の子から、付き合って欲しいって告白されちゃった・・・どうやって断るといいか教えて?」
「断るの?」
「だって・・・付き合っちゃダメってお姉ちゃん言ったじゃない!」
「それは・・・相手が高校生だったからよ。同級生ならいいお友達って感じで付き合えばいいと思うよ」
「そんなあ・・・おかしいよ、年上だとダメで同級生だといいって」
「あんた本当に解ってないね!お姉ちゃんが心配していることを・・・」