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僕が許した父

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 程なくして運ばれてきた焼酎。三人はそれぞれ自分で烏龍茶割りを作る。普通、町の職員が県の職員のグラスに注いだりするものだと思っていたが、そんなことは一切しない。それぞれ思い思いにグラスに注ぐ仕草が自然で、少しもいやらしくなかった。
「それじゃあ、今度は乾杯!」
 三つのグラスとひとつのカップがまたぶつかり合う。
 言葉を超える、打ち解け合った空気がそこにあった。父との関係もただ和解という言葉で片付けられるものではない。
 そして今日から故郷として復活した湯河原。また、これからも昌子を通じて関わっていくであろう湯河原に思いを込めて、ストレートの焼酎を啜った。

(了) 
作品名:僕が許した父 作家名:栗原 峰幸