進化するパスワード
第六段階は、
それはさらなる高度なパスワードの世界へ。
それぞれのテーマが複合的に組み合わされ、
何と文章になって来るのだ。
例えば、高見沢のケース、
この一年がその第六段階に相当する。
自分の秘密の源氏名に、可愛い初孫の愛ちゃんを織り込んで、
健やかに育てと動詞が導入され、名文となっている。
なるほど複雑難解で結構高レベル。
高見沢の情愛を思い切り組み入れて、満足度が高い。
しかし、ここは人生の節目。
そろそろこの第六段階を卒業する時期に来ている。
次の新しいパスワードで心新たにし、再スタートしたい。
究極のパスワードまでとは行かないが、かなり高度に進化したパスワードを探している。
「うーん」と唸った後、高見沢は思い出した。
京都の醍醐寺の南に一言寺(いちごんじ)がある。
願い事を一言、
しかも具体的に願えば、必ず叶えてくれるというのだ。
高見沢は閃いた。
「うん、そっかー!
願い事一言パスワード … 一言を何回も打ち込んでいる内に、きっと叶うぞ!」
第七段階は明らかに … 「願い事一言」パスワードなのだ。
高見沢は今、明らかにそのステージへと進化しようとしている。