進化するパスワード
しかし、世間の皆様と同様、誕生期のパスワードは初(うぶ)過ぎて直ぐに飽きてしまう。
そして、第二ステージへと進む。
この段階のテーマは … 「初恋」。
要は、初恋の人の名前をパスワードに採用するのだ。
パスワードの思春期とも言える。
レモンのようなフレッシュな酸っぱさを感じながら、毎日初恋の人の名前をパソコンに打ち込む。
しかし、残念な事だ。
長続きしない。
理由は簡単。
「なんで今さら初恋の人なんだよ、もうとっくに過ぎ去ってしまった事、クラブのママの名前の方が、ぐぐっと色気があって、楽しいよ」
こんな俗人的反省をし、次のステージへとさっさと移る。
第三段階は、思春期からの脱皮する。
テーマは … 「家族」。
そう、心安らぐ家族編となる。
特に人は、自分の子供達の名前を組み込んだパスワードを好む。
ここで特徴的な事は、配偶者の名前がほとんど採用されない事だ。
そして時間とともに人は気付くのだ。
「なんで見向きもしてくれない娘や息子の名前を、パスワードにして、毎日打ち込まなきゃならないんだよ」
大きな挫折感の中で、
そう、家に帰っても居場所のないお父さん。
唯一家族として認めてくれてる …
そう味方の … 愛犬の名前を使ったりする。
しかし、こんなパスワード、使えば使うほど心寂しいものがこみ上げて来る。
それを噛み締めて、次のステージへと進化して行く。