詩まとめ
十年髪
あの頃はただ、前だけを見ていた
後ろ髪は引かれないよう
短く揃えた髪はいつのまにか
貴方に惹かれるように伸びていった
貴方の指先で、優しく触れられる髪が
私の唯一残すキレイな場所
貴方と視線が合わなくなって
どうにも会話も噛み合わない
視認することすら侭ならなくなるほど
髪は伸びてしまった
貴方の綺麗なその甘栗色には程遠く
私は軋む髪に指を通して
一人気持ちに苛む
十年経ちました
私大人になりました
貴方に似合う大人にはなれなかったけれど
それでも貴方を愛していました
十年なんてあっというまでしたね
私貴方より大人になりました
貴方のような大人にはなれなかったけれど
それでもあなたに恋していました
恋してたんです
きっと気付かない間にその恋は愛になって
消えていました
十年分の髪は
いまだ切ることが出来ません
作成日:2010-06-21