小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

君が袖振る

INDEX|30ページ/42ページ|

次のページ前のページ
 

 久々の学年全体の同窓会。
 そのせいか約百五十人ほどが集まり、会は大盛況。

 立食パーティーのそれぞれのテーブルにたむろするかっての悪友達。まず龍介は、彼らに挨拶をして回った。
 そしてそれも終えて、同級生達の塊の隙間を縫って、綾乃を探してみる。

 しかし綾乃がいない。

「作家業が忙しくって、欠席したのかなあ。また日をあらためて、一度会いにでも行ってみるか」
 龍介はそんなことを、騒々しい会場の中でぼんやりと考えていた。そんな時に、瑤子が龍介を見付けて近付いてくる。

「龍介君、お久し振り、元気にしてた?」

「ああ、まあな」
 龍介は、まだ綾乃を焦がれる感情の中、素っ気なく返事をしてしまった。瑤子はそんな龍介に不満なのだろう。

「龍介君は、私にはいつも無愛想なんだから」
 文句を付けてきた。
 龍介はそれに反応も示さず、思い切って瑤子に聞いた。

「ところで、綾乃はどうしてるの?」

 すると、瑤子からはいつもの明るい表情が消えてしまい、じっと黙り込んでしまったのだ。

 今度はそんな瑤子が心配で、龍介は「瑤子、一体どうしたんだよ?」と声を掛け直した。
 瑤子の目から涙が溢れ出てきた。

「龍介君、ここではちょっと・・・・・・」
 瑤子はすすり泣きながらそう答えた。そして、龍介を誘導するように前に立ち歩き始めた。
 そして、二人は会場から外へと出て、テラスへとやって来た。


作品名:君が袖振る 作家名:鮎風 遊