君が袖振る
久々の学年全体の同窓会。
そのせいか約百五十人ほどが集まり、会は大盛況。
立食パーティーのそれぞれのテーブルにたむろするかっての悪友達。まず龍介は、彼らに挨拶をして回った。
そしてそれも終えて、同級生達の塊の隙間を縫って、綾乃を探してみる。
しかし綾乃がいない。
「作家業が忙しくって、欠席したのかなあ。また日をあらためて、一度会いにでも行ってみるか」
龍介はそんなことを、騒々しい会場の中でぼんやりと考えていた。そんな時に、瑤子が龍介を見付けて近付いてくる。
「龍介君、お久し振り、元気にしてた?」
「ああ、まあな」
龍介は、まだ綾乃を焦がれる感情の中、素っ気なく返事をしてしまった。瑤子はそんな龍介に不満なのだろう。
「龍介君は、私にはいつも無愛想なんだから」
文句を付けてきた。
龍介はそれに反応も示さず、思い切って瑤子に聞いた。
「ところで、綾乃はどうしてるの?」
すると、瑤子からはいつもの明るい表情が消えてしまい、じっと黙り込んでしまったのだ。
今度はそんな瑤子が心配で、龍介は「瑤子、一体どうしたんだよ?」と声を掛け直した。
瑤子の目から涙が溢れ出てきた。
「龍介君、ここではちょっと・・・・・・」
瑤子はすすり泣きながらそう答えた。そして、龍介を誘導するように前に立ち歩き始めた。
そして、二人は会場から外へと出て、テラスへとやって来た。