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君が袖振る

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 綾子 様

 高校二年生の君とのクラス。
 それももう半分以上が過ぎてしまいました。

 君が飾ってくれた青い紫陽花。
 その理由は、「私・・・・・・楽しいの」でした。

 そして、二人で訪ねた紫野。
 ファーストキスは、甘いものでした。

 君の怒った顔
 君の愁いのある表情
 君の柔らかい微笑み
 それらすべが、僕にとって忘れ得ぬものになってしまいました。

 君は、「もっと一杯袖を振ってくれたら、もっともっと面白くなるかもよ」と言いました。
 そう、僕がもっと袖を振れば良かったのです。

 君とのことを大事にしたい。
 周りから壊されたくない。
 そんな君への気持ちが一杯で、いつも躊躇するばかりでした。

 結局、素直に袖が振れませんでした。
 君はもう僕とは違う彼と、仲良くなってしまったようです。

 紫の にほへる妹を 憎くあらば 人妻故に 吾恋ひめやも

 これは、大海人皇子からの額田王への答歌です。
 今、僕はこんな心境です。
 だけど、真実は一つだけあります。

 君のことを、『一生の人』と思っています。

         龍太より


作品名:君が袖振る 作家名:鮎風 遊