君が袖振る
そして的を外さないように、そのタイトルの所へカーソルを移動させ、クリックをする。すると画面は瞬時に変わり、龍介の目の前に、投稿小説・「君が袖振る」が表れ出てきた。
「うーん、これが綾乃の小説か」
龍介は既にそう思い込んでしまっているのか、早くも感慨深く一人合点している。そしておもむろに、最初のページより興味深く目を通し始めていく。
紫野が執筆した投稿小説・『君が袖振る』
それは、次のような内容になっていた。
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短編小説
『君が袖振る』 作家 : 紫野
それは、高校二年生の一学期が始まった頃のことだった。
綾子は、二年生への組の編成替えで、龍太と一緒のクラスになった。
新しいクラスでの席。それは、今思えば神様の悪戯だったのかも知れない。
綾子は龍太と隣同士で座ることになった。
綾子は、大人になれば、きっと美人になる素養を充分に持ち合わせている女学生だった。細面でスタイルも良く、綺麗。
そんな綾子だが、田舎の無人駅から電車に乗り、一時間掛けてこの高校へと通って来ていた。
一方龍太は地方ではあったが、いわゆる町の子。 結構不良っぽい男子生徒だった。