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映画レビュー

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ヴィクター・フレミング『ジャンヌ・ダーク』


 認容と拒絶の映画。人間関係や国家間の関係というものが認容と拒絶の諸段階から説明されることを示し、また、認容から拒絶へ、拒絶から認容へという動的変化を示し、あるものに対する認容が同時に別のものに対する拒絶であることを示している。
 ジャンヌははじめ神の声を聞き神に認容される。だが途中で神の声が聞こえなくなり、神から拒絶される。しかし、最終的にはまた神の声を聞く。
 ジャンヌは、地方を治める領主に、皇太子に会わせるよう懇願するが、はじめは拒絶される。だが、根気強く懇願を続けることで、その拒絶が認容へと変化する。拒絶から認容への動的変化がある。
 戦争とは、相手の国に対する究極の拒絶であるが、同時にそれは、戦友に対する強い認容でもある。拒絶には憎しみや嫌悪などが付随するが、認容には友愛や好意が付随する。
 世界史や人生というものは、様々な事情が介在することによって、国家や人間が互いに様々な程度で認容・拒絶しあい、また認容から拒絶へ、拒絶から認容へと関係を変化させることで成立しているのではないだろうか。

作品名:映画レビュー 作家名:Beamte