音楽レビュー
a flood of circle『BUFFALO SOUL』
a flood of circleの音楽から感じるのは、その暴力的な血の巡りである。聴く者に切迫してくる荒々しく濃厚なサウンド、生きる意志に満ち満ちている歌詞、そこに彼らの生き様そのものが溢れ出しているかのようである。暴力とは、肉体と肉体とが衝撃的に触れ合うのがもともとの在り方である。彼らは他者に対して暴力的に接近し、さらに他者を乗り越えようとしてゆく。それは自己を乗り越えるのと同じことである。彼らの中では血が騒いでおり、聴く者もまた自らの血が騒ぎ立ててゆくのを感じるであろう。
この血と血との共鳴こそが彼らのコミュニケーションの取り方なのであって、生臭い人間どうしが一緒に踊り出すことを求めているのである。だが、血とは同時に絶えず循環し浄化され、生体をメンテナンスするものであることも忘れてはならない。彼らは単に無節操なわけではない。彼らの暴力は慎重なメンテナンスによって担保されているのであり、彼らが暴力的に生きることは血の巡りを健康に保つことで初めて可能になるのである。
だから、彼らの楽曲は衝動的な楽曲のように見えながらも、根底的な次元での持続可能性をしっかり維持している。音楽自体、そもそも何らかの情念や思想を定着するものとしての持続可能性を備えているものだ。少なくとも作品を作り、それを継続的に演奏するというところに、単なる散発的な暴力とは違った計画性が見えてくるように思える。