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音楽レビュー

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BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』


 音楽とは、歌うということはいったい何をしているのだろう、そんなことを考える。それは歌うということ、声を出すということ、楽器を演奏するということ、そのことに特有の快楽を生み出すと同時に、その快楽を多くの人と共有することなのだと思う。そこには、単純に好きなだけ演奏したり発声したりする身体的快楽もあるだろうが、それが一定の完成度と訴求力を備えたときの達成感などもあるだろう。そして、その音楽に対して他者から与えられる注目による快感。いずれにせよ、音楽・歌には複合的な快楽が関与していて、その快楽の質は作り出される音楽の質に依存する。
 BLACK SABBATHのこのアルバムは、美しい恋愛や美しい自然を優美な旋律で歌い上げるといった類のものではない。確かにそのような種類の音楽はそのような種類の複合的な快楽を生み出すだろう。そうではなく、どこかにブルース調の純粋な歌い口を残しつつ、そこに被虐の快楽や、圧倒的な何者かに接触する恐怖の快楽、自らも悪と同化していく快楽、タブーを犯す快楽など、およそ美しいとは言えない快楽を追求しているのである。音楽の発展とは、人間が感じ得る快楽の領土を発見しあるいは開拓する歴史であるともいえる。そういう意味で、彼らの開いた音楽の領域は、ホラーやミステリーに似た快楽に体ごと浸るものであり、音楽の領土を広げたものであると言える。

作品名:音楽レビュー 作家名:Beamte