【第九回】ばかVSバカ
「一つだけ明かりがついてるっちゃ…あそこは…」
「ダハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」
京助を迎えに来た緊那羅が一つだけ明かりのついていた教室の下に来るとほぼ同時に聞こえた生徒の大爆笑の声
「おぉ~? 何か楽しそうだな?」
阿修羅が教室を見上げて言う
「何がおかしいんだッ!!」
爆笑の声の中から聞こえた声に阿修羅が目を大きくした
「…あんれまぁ;」
そして呆れたような顔になる
「阿修羅?」
そんな阿修羅を緊那羅が見た
「こりゃ…ちょっくら帰んの遅くなりそうださ」
阿修羅が腰に手を当てて頭を掻くと地面を蹴って飛び上がり明かりのついた教室の窓に手をかけた
「やは」
爆笑の声が響く教室内に向かって阿修羅が片手を上げた
「ヒー…; …阿修羅!?;」
涙目で笑い転げていた京助が阿修羅の姿に声を上げると爆笑トルネードがやや落ちついた
「やっぱりおいちゃんの計算どおりだった」
帽子の人物が阿修羅の方を振り返る
「久しゅ~ばか」
阿修羅が教室内に入ってくるなり帽子の人物に挨拶をした
「上の名前を抜かすなッ!! おいちゃんは鳥倶婆迦(うぐばか)だっ!!」
鳥倶婆迦が阿修羅に向かって怒鳴った
鳥倶婆迦と名乗ったその人物がやたら無駄に長い袖口を引きずりながら阿修羅の前に来た
「相変わらずオチャラケた顔してんのー」
阿修羅が鳥倶婆迦を見て笑った
「うっさいッ!!;」
鳥倶婆迦が片足を踏み出して怒鳴る
「おいちゃんと勝負しろ阿修羅ッ!! 今日こそおいちゃんの方が天才だってこと証明してやるんだッ!! 嫌とは言わせないからなッ!」
そう言って鳥倶婆迦が背中に背負っていた鞄に繋がっているらしき腰の紐を引っ張ると鞄の中から一体どうやって入っていたのか何対もの機械仕掛けの人形が飛び出して生徒達を取り囲んだ
『ホウイホウイ』
人形がキャッキャと踊りながら生徒達の周りを回り始める
「めんこいなぁ」
阿修羅がしゃがんで人形の踊る姿を見て言う
「勝負だ阿修羅ッ!! 嫌…」
「やだね」
鳥倶婆迦が言っている途中で阿修羅が早くも拒否の言葉を吐いた
「…っていったらって最後までいわせろよッ!!」
鳥倶婆迦がキーキー地団太を踏んで怒鳴る
「…馬鹿漫才だ…」
坂田がぼそっと呟いた
「馬鹿って言うな---------------ッ!!!!」
坂田の言葉が聞こえたのか鳥倶婆迦が大声を上げると人形が一斉にジャキンとバズーカ砲を構えた
「竜のボン!!;」
阿修羅が駆け出そうと床に手をつき体を前に倒すと同時に人形の目が光った
作品名:【第九回】ばかVSバカ 作家名:島原あゆむ