【第九回】ばかVSバカ
「京助が帰ってこない?」
仕事を終え自宅に戻ってきた母ハルミが悠助と慧喜に聞いた
「うん…もう六時なのに」
悠助が不安そうな顔をすると慧喜が悠助を抱きしめた
「どうせまたなんかやらかして居残りさせられてるんでしょ」
そう苦笑いで言いながら母ハルミが巫女服を脱ぎ部屋着に着替える
「そう…かなぁ…」
悠助が呟いた
「ハルミママさん」
緊那羅が部屋のふすまをノックしてひょいっと顔を覗かせた
「私ちょっと学校まで行ってくるっちゃ」
「僕も行く」
「悠助が行くなら俺も行く」
緊那羅が言うと間を置かず悠助と慧喜が続け様に言った
「あら~みんないっちゃうと母さん寂しいじゃない」
母ハルミが言うと悠助が考え込む
「…ハルミママ寂しい…なら僕待ってる」
「じゃぁ俺も待ってる」
悠助が言うと慧喜も言う
「すぐ連れて戻ってくるっちゃ」
緊那羅が悠助に笑いかけた
「よ」
「阿修羅?」
玄関の壁に寄りかかっていた阿修羅が片手を上げた
「オライも行くわ」
壁から体を離して阿修羅が軽く伸びをして言う
「ちょっと見に行くだけだっちゃよ?」
靴を履きながら緊那羅が言った
「ヨシコがまだアレなんで教育係はヒマなわけさね」
阿修羅が言うと緊那羅が顔をしかめた
「…吉祥はまだ…?」
緊那羅が聞くと阿修羅が頷く
「面会は許可されたんだけどな…まだ宮の中からはでらんないわけさ」
阿修羅が言う
「ってことで同行すんわ」
緊那羅の頭に手を置いて阿修羅が笑った
作品名:【第九回】ばかVSバカ 作家名:島原あゆむ