【第九回】ばかVSバカ
「っ…だしょっ; あ”~…;」
カンブリを布で拭いていた阿修羅の鼻から鼻水が流れた
「汚いんだやな;」
コマが言う
「拭くんだやな;」
イヌが尻尾でティッシュの箱を阿修羅の元に飛ばした
「あんがとさんワンコ」
ティッシュを二枚抜いた阿修羅が勢いよく鼻をかむ
「風邪でもひいたっちゃ?」
洗濯物を取り込んでいた緊那羅が阿修羅に聞いた
「いんや~…どうだか…急に寒気がしたんよ;」
鼻をかんだティッシュをゴミ箱の方向へ投げ捨てながら阿修羅が答える
「ヘンタイも風邪引くんだやな?」
イヌが言う
「コラコラワンコ; 誰がヘンタイだっちゅーん;」
阿修羅がイヌの首根っこを掴んで持ち上げた
「京助達がいってたんだやな」
イヌが言う
「竜のボンけ…;」
阿修羅が苦笑いをした
「でも京助達も馬鹿だからどっこいどっこいなんだやな」
コマが耳の後ろを掻いて伸びをしながら言う
「馬鹿ねぇ…」
阿修羅がイヌを下ろすと足を組んで空を見上げた
「…そういや…馬鹿っちゅーと…」
阿修羅がハタと何かを思い出したのか足を組みなおした
「馬鹿がどうかしたんだっちゃ?」
「わぷ;」
緊那羅がコマの上に洗濯物を下ろしながら阿修羅に聞く
「緊那羅何するんだやなっ;」
洗濯物の下からイヌの手を借りて這い出してきたコマが緊那羅に抗議の声を上げた
「そんなとこにいるからだっちゃ。ホラホラどいたどいた」
緊那羅がサンダルを脱いで縁側に上がると洗濯物をかき集めて和室へと運ぶ
「…緊那羅だんだんハルミママさんに似てきたんだやな;」
イヌがボソッと言った
作品名:【第九回】ばかVSバカ 作家名:島原あゆむ