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微風

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駅に向かって歩きながら直美は「伊東さん、将来どうするの?」と聞いてきた。私は一瞬自分と直美の将来のことかと思ってしまい、そんな仲ではないのに苦笑し、「将来って」と聞き返した。
「ずうっと今の会社にいるの?」
「うーん、独立ってことも考えてはいるが、すぐにはねえ」
「そうかあ、そうだよね。独身じゃないからね」

直美はいつもより静かで、そして歩くのも遅かった。私はそのせいかいろいろと考えてしまった。ちょっと前に触れた感触も頭から消えない。

すぐに駅に着いて、私と違う電車に乗る直美は「じゃあ、また明日」と言って改札口へ吸い込まれて行く。

私は、単なる同僚だよなと思い直し改札口に向かった。
作品名:微風 作家名:伊達梁川