裸の美少女
「起きてくださ……あっ、そうだ。何も着てなかったんですね。じゃあ、とりあえず、起きなくて結構です。返事だけでも、してくれませんか。無視されるのって、好きじゃないんですよ」
「ごめんなさい。わたし、未来から来たんです。洋服は、未来に残ってしまったみたいです」
娘は天井を凝視めながら云った。
「未来って、どのくらいですか?」
「ここでは今、何年ですか?」
「西暦でいうと、二千十一年です。平成の二十三年です」
「わたしは、二千百二十七年から来ました」
「生まれは?」
「二千百十年です」
「じゃあ、十七歳ですね。百年経っても、地球は人間が住める場所なんですね。安心しました」
「……済みません。洋服を貸してください」
「女性の服はありませんからね。買って来ます。身長と、スリーサイズは?」
「百五十七センチで、上から八十六、五十八、八十八です」
大塚はバッグから手帳を出し、その数字を慌てて記入した。抱きしめてみたいと思いながら。
銀行で金を引き出してから、大塚はデパートへ行き、下着と、白いワンピースと、サンダルを買った。