裸の美少女
宇宙人かも知れない。もしもそうだったならば、迂闊にドアを開けられない。どんな攻撃をされるか、わかったものではない。
どかーんと、大音響を伴って強烈な光に包まれた。雷がすぐ近くに落ちたらしい。数分前までは晴れて陽が差していたというのに、見上げた空は真っ黒な雲に覆われている。あり得ないことだと、大塚は再び思った。ドキドキしていた。
借りて来た合い鍵でドアを開けた。中に入って大塚はドアを閉めた。靴を脱ぐつもりはない。照明をつけていない、薄暗い部屋には布団が敷いてあり、その中に娘が居る。娘の頭部が入り口側にある。エアコンも停止しているので蒸し暑い。やっぱり現実なのだと、大塚は改めて思った。そして、その寝顔は美しかった。十代の娘の顔だ。
「あのう、すみません。この部屋は、私の部屋です。その布団も、私の布団です。どちらさまでしょうか」
返事はない。死んでいる?まさか。大塚はかなりの恐怖を覚えた。
「生きてますか?ど、どうして私の部屋に入ったのか、お、教えてください」
やはり返事はない。よく見ると、布団が規則的に動いている。呼吸をしているという証拠である。
「生きているみたいですね。起きてください。勝手に人の部屋に入ることはいけないことです」
眼が開いた。大きな、切れ長の眼だ。