SaddenSociety
行かなければ良いのに、マンションの地下に踏み入れる開拓者たち。
おれは、兵士の近くの、比較的安全な場所から見ていた。
刹那、
「あああ!!!」
と、いう声が響き渡ってきた。
2~3名、地下から走って上がってくる。
こいつらはセーフ。何はともあれセーフ。
だが、それ以降は、兵士はもう早々に救助を諦める。
兵士を集めて、地下につながる通路をのドアを閉め、素早くバリケードを作り始め、
決して銃は使わない。
地下につながる通路のドアだけでなく、それ以外のドアも閉め始める・・・
「おい!そっち方面は、まだ開拓してるやつらがいる方面じゃないのか?」
おれは言うが、今はそんなことは関係無い。
パニック!
比較的安全な場所にいたおれは、当然助かった。
もっと安全な場所まで、走る。
安全な場所で、落ち着いてきて、憤りを感じた。
くそっ!なんだあいつら。ドアを閉めることを前提に動いてた。
なるほどな。兵士らは、自分らの命を危険には晒さないんだ。絶対に。
代わりに、避難民の男達を、お前らは勇者だとか正義のワッペンでおれたちの仲間だとか言いながら、探検させる。
そうして、最前線で化け物と遭遇したら、容赦なく切る。
そうやって、少しずつ進んでいく。
というか、避難民たちは、わかってるのか?
自分たちが、駒に過ぎないと。
いや、わかっていない。見るところ、ワッペンの数や色(恐らく何枚かワッペンが貯まると色が違うものを貰える)はものすごく彼らにとって魅力的だ。
だから、自分たちを駒なんて思わない。自分たちは間違いなく勇者そのものだ。
作品名:SaddenSociety 作家名:makoto