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SaddenSociety

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おれは、正面の入り口を更に進んで、ドームの突き当たり付近までやってきた。
日本人の兵士?にもう少しというところまで来た。
頻繁に扉を出入りしている兵士の近くでおれは状況を観ていた。

どうやら、移動する為の安全な道を探しているらしい。

いきなり、おれは外国人と日本人の兵士にワッペンを渡される。
外国人の兵士は、おれに向かって言う。
Oh, You なんとかかんとか。全く聞き取れないが、何かしきりに楽しそうに振舞っている。
そして、おれが手に取ったワッペンを、おれの胸に装着する。
外国人は、日本人と違って密着する時やたらと距離を詰めてくる。
腕毛が濃い彼は、やたら汗。

日本人にこのワッペンの意味を請うが、頷くのみ。日本語がしゃべれない。
ああ、どうやら彼は中国人か韓国人みたいだ。

外国人は、胸につけた、おれと色の違うワッペンを指さし、にんまり笑う。
そしてケツを叩かれたおれは、ドームから、外に出るよう促される。
Braveなんとかかんとか。

一人で追い出されたか・・・なんて考えるが、そうではなかった。
ドームの外には、別の兵士たちが何人か居た。
今度こそ日本人の兵士もおり、それよりも、おれと同じ色のワッペンをつけた沢山の避難民が居た。

「なんだ・・・ドームの外も安全区域があるんじゃん。」

安心したおれは、整備されたドームの外の通路を進んでいく。
ドームから袋路地、マンションへとつながる道路。
大きな道は、完全にバリケードがされており、兵士たちは、バリケード周辺から外を警戒している。

そうか・・・開拓。道を開拓してるんだ。

おれは思った。
更に先に行くと、日本人の兵士が、何人かの避難民に向かって言ってる。

「おれらは戦士だ。俺達で道を切り開いてこうぜ。」

ここまで歩いてきたら、だいぶ前線。
バリケードもなくなっている。
日本人兵士を見ていると、あるところから、日本人兵士はいなくなる。

最前線に行くと、バリケードは無く、ワッペンを渡された避難民ばかり。
棍棒を持ち、戦意を漲らせている。

「ばかな。あんな棍棒なんかで、勝てる訳ないのに・・・」

あいつら、化け物を全く見たこと無いのか?
注意しようと思ったが、止めた。
最前線にいるワッペンたちは、異様に目が輝いてたからだ。そういう連中には水を差したくない。

おれは、少し下がって様子を見る。
あくまで兵士がいるところの周辺で、散策しているフリをして待機。待機!

最前線から25mくらい前の地点に、兵士は居る。
その距離を外さない。

「なるほどな。」

最前線は、ワッペンをつけた避難民。やつらは、おとりだ。
守るべき命は、兵士。中心。心臓。

で、開拓という危ない役割を、避難民にやらしている。
ワッペンは称号。
どれだけ貢献出来たか、どれだけ道を開拓出来たかを示す称号。
勇気そのものと言っていい。

しばらくすると、開拓者が、全く別の通路からやってきた。
最前線のやつらが、道を開拓した結果。つまり、開通。
このマンションには、誰も居ない可能性が高い。

開拓者を引き入れ、Gooooood!と、小さい声で兵士が褒める。
手にはワッペン。ワッペンは沢山貯まるとそれだけエラくなる。
開拓者は、エッヘンという感じで胸を張っていた。

作品名:SaddenSociety 作家名:makoto