SaddenSociety
おれは必死に観察した。
ひどく疲れてるのに、妙に頭は冴えており、
それ故に要点を早く正確に推測することが出来た。
この中で一番偉いのは誰だろう。
考える順番としては、まずはリーダーを探すこと。
リーダーが何を考えてるかを考えること。これは基本。
リーダーを特定することは出来なかったが、権限を持ってるやつらは簡単に特定出来た。
入り口を開けてくれた外国人。ドームの別入り口を入ったり出たりしている外国人。
日本人も4人程居る。迷彩を着ている訳では無いが、しかし外国人らと対等に話しをしているし、
銃を持っている。オーラも全然違う。野良犬の目というか、寝てる間も気を張ってる、そんな目。
恐らく彼らは何らかのプロだ。そして、戦闘技術に長けてるのだろう。
つまり、このドーム内の心臓部分は彼ら10人程。彼らによって、自分達は守られている。
よくよく見ると、金髪の外国人は無線で連絡している。
これは推測だが、このドームにいるグループ以外とも連絡を取っている、そんな感じがした。
つまり、今生き残ってるのはこのドームにいるグループだけでなく、
似たように生き残ってるグループは居るということだ。
もっとよく観察すると、このグループは、少しずつ移動していて、
この場からも後少ししたら移動する。
何故なら立っている人らがあまりにも多いから。
しばらくここで休憩しようとなると、それこそさっきおれがイメージした体育館の避難所のように、
シートを敷いて横になりだすやつがいるハズだからだ。
考えてみれば当然だ。
もしこの場所が見つかって、そうしたら一網打尽にされる恐れがある。
いくら銃を持っているものが何人かいると言っても、パニックは避けられないだろう。
ではどう安全を確保しながら移動している?
作品名:SaddenSociety 作家名:makoto