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住めば都 ~整形外科病棟~

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9、クーちゃん



 術後1日目はめまぐるしい。
術後の様々な処置が施され、歩くことまでもさせられた。あんなに大きな手術をしたのに…。前夜は、殆ど眠れなかったのに…。
 その寝不足も手伝って、一段落した後はお昼寝もタップリ取ることができた。

午後はの~んびりと過ごし、また夜になった。術後二日目の夜。
1日目の夜も喉の渇きと、血栓予防で器械から送られる風の違和感で眠れなかったが、二日目の夜もほぼ1時間おきに目が覚めた。
昼寝をしすぎたからだろうか。昼寝ではぐっすり眠れたのに……。

前回の手術の経験からは、麻酔から覚める時が一番苦しかったのに、今回は二日目の夜が一番辛かった。
痺れと抜けるような腰のだるさや傷の痛さ、そして、37.6度の微熱まで出てきてしまって、夜が眠れなかったのだった。
ナースは、
「体を傷つけてしまったからね。それと闘って熱が出ているのよ。そのうち楽になるからね」
と励ましてくれた。
 ―― そうなんだ。皮膚や筋肉をメスで切り、骨を削り異物を入れる。そんな大掛かり なことをしたんだものね。体もビックリしたんだろうね。神経を触っていた時は痛さで 訴えていたけれど、今度の変化は発熱することで悲鳴を上げているんだ。体も頑張って いるんだから、自分も頑張らなければ―― と思いながらうつらうつらしていた。

―― 夜、ふと何やら懐かしい感触がすることに気がついた。太ももの辺りに寄り添うものがいる。

〜〜 あ〜!! クーちゃんや!! クーちゃんがお布団の中に入ってきたんや。
 …… ええっ!? ここは病院やん。クーがいるはずないやん。
〜〜 うーん、でも、この微かに触れて、私の温もりを感じながら寝るのはクーのクセやん。

 ―― まどろんでいる私には、目を開けてそれがほんとにクーなのか、何なのかを確かめる気力もなく、朝方までうつらうつらしていた。