住めば都 ~整形外科病棟~
1、手術室のナース
病室に手術室のナースがやって来た。
「手術室のナースの佐藤といいます。宮村さん、明日が手術ですね。私たちはこんな格好 でお待ちしています。驚かないように同じ格好で来ました」
髪の毛をすっぽりと覆った薄いグリーンのキャップにグリーンのマスク。その間から覗く聡明そうな眼。切れ長の二重、病棟のナースより少し歳は重ねて経験豊富な様子がその目尻に刻まれたシワでわかる。
異常のあった薬やアレルギーなど、テキパキと質問を重ねていく。
「何も心配はありませんからね」
「あっという間に終わってしまいますからね」
「薬アレルギーはありますか」
テキパキと質問し、里香も短く答える。
「昔、帝王切開をして、退院した後、お風呂に入ったあと背中がミミズ腫れになったことがあります。それ1回だけでしたけれど。私は薬じゃなくて輸血が原因かなあと自分では思っていました」
「そうですか。それ、以降は何もなかったのですね」
「アルコールやイソジンのアレルギーは?」
「大丈夫です。ペインクリニックでイソジンをムチャクチャ塗られても大丈夫でしたから」
「ああ、そうですね。これでもかっていうぐらい塗りますからね」
言い方がおもしろかった。ペインの消毒の仕方を知ってるんだ……と思ったが、それもそのはず、麻酔医や執刀医が消毒しているところを毎日見ているんだからね。
作品名:住めば都 ~整形外科病棟~ 作家名:ねむり姫