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抱き枕の匂い

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抱き枕の匂い


 夜中にふと目を覚ます。
 ここ最近は珍しいことではなかった。ぞくりとした寒気で目を覚ましてしまうのだ。
 寒いわけだ、しとしとと雨が降っている。窓を閉めると、多少はマシになった。こういう夜は大抵、窓を閉めたらそのまま寝てしまうわけだが、その夜は何故か目が冴えてしまっていた。
 私は冷蔵庫を開けると、牛乳を取り出す。むぅ、残り少ない。この一杯で終わりか。私は差し出された手鍋を受け取り、牛乳を注いで加熱する。しばらく暖めて、それをマグカップに注ぐ。膜が張っており、甘みが増しているように感じられた。暖かい牛乳を飲んでいると、眠気が増してきた。私はそのまま布団に戻ると、一息吐いて……。
「――って誰だお前っ!」
 布団に一緒に潜り込もうとした小娘を一喝した。

作品名:抱き枕の匂い 作家名:最中の中