カナダの自然に魅せられて ~トロントへ~
このお部屋ではもう一つエピソードがある。
やっとお部屋に入って靴を脱いだ。
「コーヒー入れようか、お姉ちゃん」
とコーヒーセットの前に立った。
さすがにコーヒーは日本のようにインスタントの粉ではなく、一つずつ袋に入ったドリップ式のコーヒーだった。
一つをカップにセットして、もう一袋を開けようとした時…、
「あれっ?この袋開いてるよ〜!!コーヒー入ってないわ!!」
「まあ!?呆れるねえ」
何で、ホテルではこんなにケチばかりつくんだろう!
「フロントに言うてこようか」
と、姉。
「え〜!?、何て言うん?」
「………」
なんていうのか咄嗟には出ないようだが、気の強い姉は行く気満々!
「じゃ、フロントへ行って来るわ」
「ええやんか。開いていたって証明できひんし。お掃除の人も気がつかへんかったんやろ。1袋で二人分とればいいやん」
「いや!行ってくる」
あくまで強気だ。
一人で出て行って、しばらくして帰ってきた姉は、
「ほら!!ちゃんとくれたよ」
とニコニコ顔。
英語で何と話してきたのかは聞かなかったけれど、頼もしい姉だ。(ホント、性格正反対の姉妹なのだ。)
「さ、明日の朝は早いからもう寝ようか」
明日、着るものと必要なものだけを出して、後はきちんと荷造りした。長い長い飛行機の旅もあるので、小説も2冊デイバックの中に入れた。
姉は、
「神戸から持ってきた美月の荷物を出したら、スカスカやったのに。もう入らへんわ。重量オーバーになるかも」
「じゃ、私のデイバックが空いているからここに入るものを入れたら」
「うん、もしそうなったら入れてね」
と話しながら、ベッドに横になった。夜12時を回っていたかなあ。
朝、目覚ましで飛び起きて、慌てて仕度。窓から外を見る。
バンクーバーの午前3時はまだまだ暗かった。荷物を持ってロビーに下りた。
「あちらにパンとコーヒーがありますから、どうぞ」
「わあ!!朝食が付いていたんや!!良かった(^0^)/]
「ありがとうございまーす」
午前4時前だというのに、朝の早いお客のために朝食のコーヒーを点ててくれているなんて、すばらしい!!
睡眠時間は3時間足らず。寝不足で食欲はなかったが、それでもパン1枚はしっかり食べた。
食べ終わる頃に、ちょうどバスが迎えに来てくれた。
バスの運転手さんに
「Good Morning!ターミナルは?」
と聞かれたので、慌てて予定表を見ると、UA ターミナルMと書いてあった。
「ターミナルMです。お願いしまーす」
私たち二人だけを乗せて、バスは空港に向かって出発した。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~トロントへ~ 作家名:ねむり姫