カナダの自然に魅せられて ~トロントへ~
美優と別れ一人で同じ道をB&Bに向かった。
帰りにもリスに会えるかなあ〜と期待しながらキョロキョロ。植え込みの中や木の上を注意深く見ながら歩いた。
すると、いた!! またまた、いてくれたのである。
太い木の根っこから、今度は全くこちらを見ずにスルスルっと枝分かれをしている高いところまで登っていった。
速い、速い。瞬く間だ。
上向きにも下向きにもほんとに上手に登ったり降りたりできるもんだなあと感心した。
もう午後9時も過ぎ、さすがにトロントの夜も薄暗くなり始めていた。
あまりにも高く登っていったから、もう見えなくなってしまった。カメラを真上に向けていたから、首もだるくなってきた。
写すのを諦めて、再びB&Bに向かった。
歩きながら、美月たちはどうしているかなと、携帯に電話した。
「もしもし、美也やけど、もう宿に帰ってきてる?」
「まだ。トロントには帰ってきてるけど。ご飯を食べて、今スーパーで果物見てるねん」
「私、もうすぐ宿に着くけど、鍵がないから入られへんやん」
「オーナーがスペアを持ってると思うから開けてもらって」
え〜、私、しゃべられへんのを美月は忘れたんかしら?
と思いつつ、兎に角暗くなったし、足も疲れたし、帰ろうと思った。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~トロントへ~ 作家名:ねむり姫