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カナダの自然に魅せられて  ~トロントへ~

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注文した料理は、どれも大きなお皿にたっぷりと入って運ばれてきた。
「え〜!!これが一人前!?」
そう言えば、船長さんのお宅のご馳走もたっぷりだったなあ。カナダの人はたくさん食べるんだね。
お皿のポテトフライも大きなお皿に山盛りだったけど、これちょっと焦げすぎじゃない?と言うほど揚げてあった。そばにたまねぎのリング揚げもついていた。
問題は海老のチリソース。頼んだときからハーフサイズと言っていたのに、これがハーフサイズ!?というくらいの量だった。

しかも、よ〜く見ると…。
「ねえ、あの写真、海老みたいやったのに、これってチキンに似てると思わへん?」
「そういえば、骨付きのチキンみたいやね」
「え〜、やっぱりそう思う?美優ちょっと食べてみて」
「うん、やっぱりチキン。美味しいよ。お母さん、食べてみたら」
「やっぱり、そうやったん!!もっとしっかりメニュー見とけば良かったね。チキンだったら英語でも読めるのに…」
といっても後の祭り。
私が唯一苦手としているのはとり料理なのだ。「とり」は全く受けつけない。

「お母さんはいらないから。美優、全部食べて」
「ええ〜!なんぼ私でも全部食べられへんよ」
「大丈夫よ。いつもいっぱい食べてるから、食べれるって!」
そう言った私は、ビールと焦げたポテトフライとサラダだけの夕食となった。(ハァ〜)


美優とは、自炊生活のことやら、英語での講義のこと、そしてちょうど1週間前に行ってきたと言うナイアガラの話で盛り上がった。
美優はこの留学に向けて、画素数が大きい携帯を父親に買ってもらっていた。その携帯のカメラでナイアガラをクリアに撮っていたのだった。
さすがに、私の持ってきた古い型のデジカメより綺麗に撮れていた。
特に、カナダ滝から立ち昇る水煙が青い空に吸い込まれ、混じりあってる様子がとても綺麗にだった。
この美優、高校時代は写真部に属し、県のコンクールに入賞したこともあるので、さすがにうまく撮れている写真が多かった。
「美優、さすがやねえ。写真部のことだけあるわ。T先生に感謝しなね」
「へへ、ありがとう」

私は私で、カナディアンロッキーがいかに素晴らしかったか、ジャスパーで1時間も歩いて山を下ったこと、バンフのホテルのトイレのことや食事のことを話した。時間がいくらあっても足りなかった。
「でもね、野生動物はね、アライグマとブラックベアーだけ。期待のリスはチョロチョロっと走ってるのを見ただけやねん」
「ええ〜!?リスやったらこのあたりにいくらでもいるよ。大学の中にはいっぱいいるわ」
「ホンマ!!ぜったい会いたい!!」
美優も美月と同じくいつでも会えると言うし、まだ出会ってないというのが不思議なようだった。

……話は、ずいぶん盛り上がった。
日本ではお互い忙しいから、こんなに話したのは何年ぶりかというぐらい話は尽きなかった。
自宅ではなく、海外で出会うとまた違った面が発見できるよさがあった。

門限も近づいてきたので、レストランを出た。
やはり、若い女性の一人歩きが心配な母は寮まで送って行く事にした。どんな寮に住んでいるのかも知りたかったから。
「え〜、お母さん送ってくれるの?良かった。ありがとう」
「お母さんは帰り大丈夫?」
「大丈夫やろ。ここまっすぐな道やもん」
自分の帰りはなぜか全然心配してなかった。とても判りやすい通りだったからか。
言葉の通じないタクシーに乗るよりは、判らなくても地図を頼りに歩く方が大丈夫なような気がした。