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漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

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十三の四  【鰒】


【鰒】、これでは読めない。「河豚」と書けば、(フグ)と読める。

なぜ河豚なのか?
これは豚のような姿ではなく、危険を察知すると豚のように鳴くからだとか。
豚がどう鳴くなんて、そんなん知るか! と、叫びたくなるが……。

さてさて、冬の旬は【鰒】。
「フグは食いたし命は惜しし」
その肝臓は命懸け。それでも食べて、あの世行き。
それでは安全なところで、暖まる「てっちり」。そして、美味な「てっさ」。

【鰒】の俗名は、当たったら死ぬから「鉄砲」。鉄砲がちりちりと縮こまる鍋が…「てっちり」。
アホにすなと叫びたいが、鉄砲の刺身が格調高く「てっさ」と言う。

薄造りで、皿の絵柄が透けて見え、
それらを箸で、四、五枚ごごごいっとすくい上げ、
ぐるぐると箸に巻き付けて…、
もみじポン酢にドボンと漬け、前歯でしごきとり…、
ガボッと一口で。

これぞ究極の食道楽だ!
そんなグルメ番組を観ながら、「鉄砲の刺身」、一生に一度で良いから、そんな食べ方してみた〜い。
と、羨(うらや)みながら、柿の種を口一杯に頬張って、【鰒】のヒレ酒ならぬ、梅干し入り焼酎お湯割りを…ぐびぐびと。

いやはや、ヤケクソで飲み過ぎたら、こちらの方が【鰒】より危険かも。