漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編)
十二の三 【縮】
【縮】、右部の「宿」に「ちぢむ」の意味があるとか。
そして縮むのは距離や物だけではない。言葉も縮むのだ。
世の中、短縮語が氾濫している。
マクドナルドは関東でマック、関西ではマクド。
ケンタッキーは関東でケンタ、関西ではケンチキ。
他に婚活にアラフォー、アラカン。
セクハラにパワハラ、メル友にPPK…等々。
ならば、もの書き創作活動は「カキカツ」、「ソウカツ」になるかな?
一方、言葉には「縮小辞」というのがある。
要は…「なになにっこ」だ。
東北地方では「べこっこ」に「ねこっこ」、一般的には「ぶりっこ」など。とにかく「なになにっこ」は「ちょっと可愛いね」の意味を持つ。
そして、これがスペイン語となれば、男性名詞には「〜ito」(〜イート)、女性名詞には「〜ita」(〜イータ)。
まさに、これらの付けまくりだ。
日本語で言えば、なんでもかんでも、「なになにっこ、可愛いね」と言ってるようなもの。
その代表が、朝から晩まで、男性は女性に「ボニータ」(可愛い)と言うのが務め。この「bonita」の「〜ita」(〜イータ)が縮小辞。
「poco」 : ポコ 「少し」は
→ 「poquito」: ポキート 「ほんのちょっぴり」
「chico」 : チコ 「子供」は
→ 「chiquito」: チキート 「お子ちゃま」
「gato」 : ガト 「猫」は
→ 「gatito」 : ガティート 「子猫ちゃん」
他に人の名前、それらまでも可愛く、とにかく「なになにっこ」の付けまくりだ。
ラウラはラウリータに、カタリナはカタリーナと。
ならば日本では、新生児、女の子の二〇一一年の人気ある名前は…陽菜と結衣。
ちょっと可愛いく、スペイン風には…「ヨウニーナ」と「ユイーナ」になる。
では男の子の名前の一番人気は…「大翔」。
されど…???
こんなの読めませんがな。これ、「縮小辞」以前の問題。
調べてみれば、どうも「はると」と読むらしい。
しかもパソコンで変換可。知らなかった。
で、結果、めでたく「ハルティート」となりやんした。
いやはや…【縮】、同じ縮めるにしても、いろいろだ。
作品名:漢字一文字の旅 第一巻(第1編より第18編) 作家名:鮎風 遊