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漢字一文字の旅  第一巻(第1編より第18編)

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十五の二  【飛】


【飛】、鳥が羽を広げて「とぶ」形だとか。

こんな【飛】、飛ぶのはなにも鳥だけではない。熟語となり、なんでも飛ばしてしまうのだ。
耳を飛ばして、「飛耳長目」(ひじちょうもく)。
「飛耳」は遠くのことが聞ける耳。「長目」は遠くまで見通す目。だから、意味は見聞に精通していること。
また、蚊を飛ばして、「飛蚊」症(ひぶんしょう)。これはちょっとやっかいだ。

時は今から一千百年前、菅原道真は太宰府に流された。そして、詠んだ。

『東風(こち)吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ』
この梅、実は京の自宅にあった梅。それが道真の後を追って、太宰府まで飛んで行ったとか。
したがって、それ以来、『飛梅』(とびうめ)と呼ばれている。

なにか「とびうお」と勘違いしそうだが、とにかく『飛梅』、三月ともなれば太宰府で見頃となるそうな。
【飛】んで見に行きたいものだ。