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Heart of glass

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 それから一週間挟んだ次の月曜日。
 硝の遅刻はなくなっていた。だが、その日の彼は、ずいぶんとご機嫌だった。貴志惟の部活創立の許可が下りた頃から、彼のテンションはずっとハイだったが、その日は鼻歌が絶えないほどだ。何度注意されても、彼がそれを止めることはなく、授業おもむろに歌いだしては、授業を停止させていた。
「今回は本気で空気が読めてないのか?」
「ちゃうねん。なんかこう・・・ああっ、言葉では言い表せん!」
「言い表さなくていいぞ。俺の中ではお前のイメージが落ちていく一方だから」
「あかんやん!」
 硝はすがるように貴志惟の肩に手を置いた。力加減もなにもなかったので、貴志惟は見事イスから横転する。
 いらだちを隠さぬまま、貴志惟はゆらりと立ち上がる。硝はもう青ざめていた。
 キーンコーンカーンコーン
 鳴り響く学鐘に、貴志惟が硝の頭を勢いよく殴った。硝から妙な声が出るが、チャイムに混じって、それは誰の耳にも届かない。
チャイムが鳴り響いたあとの教室で、それと入れ違いに貴志惟の怒鳴り声がこだまする。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷