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Heart of glass

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「話を戻すぞ。最近不良もののドラマや映画が流行っていて、お前の中での不良のイメージはずいぶんと飾られてるんだよ。常人よりも仲間思いであるとかな。まあ、仲間思いなのははずれちゃいねぇけど」
「でも暴力はふるうやないか。俺かてそんくらい知っとるで?」
 核心に触れられ始めて、少しあせったのか、硝の反論の回数が増す。しかしその反論に返す言葉も、貴志惟は十二分(じゅうにぶん)に用意していた。反論を肯定した貴志惟は、それを覆して返事とする。
「不良探偵と聞いたら、どういうイメージを持つか。調べてみると、名を知る八十パーセントの人間が『理性で相手を打ちのめす』って回答が多い。言い方を変えれば暴力をふるわないってとこか?」
 不良探偵。この辺の不良でこの名を知らない者はいないというほどに有名な男だった。「紅き狼(あかきおおかみ)」と「柔の賢狐(やわらのけんこ)」を従えたという彼は、どこから仕入れてくるのかも解らない情報をもとに、相手の精神状態や行動の原因を的確に当てる。暴力は決してふるわないかわりに、彼に精神的恐怖を与えられた不良の数は、知れないほどにきりがない。
 唐突に話題を変えてきた貴志惟に、しかし硝はあまり動じなかった。
「・・・俺は別に仲間思いやなくてもええで?」
 硝は話の根本を打ちのめす。だが、先ほど訂正しなかったのは怪しい。だが、話を戻すというのなら、貴志惟側にも手がある。
「そもそも、不良だからと声をかけてきたのはお前だろ?自分の行為を棚に上げるのか?」
 先ほど貴志惟も上げていた気がする。思いのほか、余裕を見せる貴志惟に、硝は恐怖した。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷