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Heart of glass

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「初等部、中等部、高等部、大学部をつなぐと、四角形になんねんな?」
 そこで一度言葉を区切り、彼の到着を待った。渋々向かうと、硝が一つ一つを説明してくれた。その説明はこうである。
 初等部、中等部、高等部、大学部をつないでできた四角形の内側が、この学校の敷地になるようになっている。内側のグラウンドは、普通の校庭が丸々二つはすっぽりと入りそうな大きさだ。それぞれをつなぐ辺となる四つの街道は、それぞれバラ、桜、藤、楓の四つに囲まれており、その回廊にはいくつかの建物に通じる道が存在した。バラの回廊は図書館兼パソコン・映像ルームに、桜の回廊は植物や動物を飼育する温室に、藤の回廊は部活棟やテニスコート、弓道場につながっている。そして体育館は第一、第二、第三までがあり、すべて楓の回廊からつながっているという。そして内側を対角線上に繋いでいる中央に巨大なグランドが存在していた。
 あまりにも多い建物の役割がわかってくると、今度は一体どこに行けばいいのかが分からなくなった。彼が今回どこに行けばいいのかを尋ねると、硝は楓の回廊を指した。そこから指をスライドさせて、体育館を示す。
「オリエンテーションをまったく聞いとらんかったんやなぁ」
 その指摘はもっともで、彼は硝から目をそらした。すると、初々しい緑の隙間から、わらわらと歩いている団体の姿が目に入る。硝も隣の窓からのぞきこんだ。そして団体を指し、そのまま道をたどる。
「確か・・・あれやな、第一体育館や。ホンマに急いで行かんと終わってまうで」
 その説明を聞いた彼は、目を丸くした。答えを期待しているわけでもなく、思わずつぶやいてしまった。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷