Heart of glass
「具体的に言うなら、推理系クラブだ」
「なんやねん、推理系クラブて」
「お前が作りたい部活だろ。俺が知るか」
あまりにも不明確でなげやりな回答を、偉そうに主張した。しかし、推理系と言われると数が少ないため、意味が解らなくとも賭けの範囲は適用される。これ以上の質問は賭けの範囲外だ。当たっていなくても責めることはできない。
「・・・なんで推理や。俺はミステリー作家にでもなりたいんか?」
自嘲的に笑う硝を観察してから、貴志惟はピクリとも動かずに否定した。
「俺より自分に聞けよ」
あっさりと還された返答に、硝は自嘲の笑顔をしまう。
「・・・なんでそんな答えに至ったん?」
「正解を言うのが先だろ」
「勘やったら無効やろ?」
賭けの内容にそんなものはなかったはずだ。いざというときの逃げ道をたたれた貴志惟は、顔をしかめた。しかし気になる理由もわかるので、彼は説明を始める。もちろん、硝の勝手を許可したわけではない。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷