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Heart of glass

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期待と不安


 勝負の話をしてから四日目になった。五日という期間の短さが身にしみて分かる。
 朝、教室を開けると、いつも通りの空気が流れこんでくる。もう硝の姿がなくとも、なんとも思わなくなっていた。どうせ今日も午後から来るのだろうと、堂々とした遅刻をくり返す硝にあきれる。
 貴志惟は自分の席に着くと、鞄の中身を整理し始めた。すると、今日は珍しく義章ではなく、彼の親友という俊介が話しかけてきた。彼が話しかけてくる内容は、硝ではない。
「なあ、昨日の赤髪と、どういう関係なの?昔の不良仲間?」
「・・・近いものはあるな。でもただの幼馴染みだ」
「ずいぶんと個性的な幼馴染みだな」と軽く笑うと、前の席に座る俊介はさっさと向きを戻した。特に関心のあることしか、話す気はないらしい。そういえば昔、男の会話は情報交換のためにあると、本で見た記憶があるなと、貴志惟はその行為に一人で納得する。
 担任が入ってきて、朝礼が始まる。様々な説明をしていく中、欠席者の名前を挙げていく。BGMのように文字を拾わずに耳に入れていた貴志惟だったが、無意識にある単語を拾い上げた。
「オクスケから欠席って言っといてって連絡がありましたー」
 発言したのは義章だった。今日は聞いてこないと思いきや、彼には連絡が行っていたようである。たいして仲良くないと言っていたわりには、ちゃっかりアドレス交換しているところが硝らしい。
 珍しいこともあるものだな。彼はそんな感想を抱きながらも、昨日の硝の状態を思い返す。最近は流行病などもなく、天候も春のうららかさそのものだ。あまりにも馬鹿な行為をしなければ、風邪をひく可能性は非常に低い。また昨日の硝は、せきなどもまったくなく、走っても息切れ一つ見せなかった。その硝が唐突に欠席するほどの風邪をひくとは考えにくい。すると答えは一つ。貴志惟は声に出さずに眉間にしわを寄せた。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷