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Heart of glass

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 硝に関する新しい情報を仕入れた貴志惟は、帰り道にそのまま幼馴染みであるタカに電話をかけた。放課後あんなことがあったのに、よく電話できるものだと感心してしまうような行動だ。優しくも電話に出てくれた彼に、貴志惟はあることを調べてほしいと申し出た。承諾の言葉もなく、いきなり制限時間を聞いてくる。
「できれば、明日が望ましいな」
『できないとでも思ってるの?』
 プライドが傷ついたのか、怒った様子のタカに、誠意もない謝罪をしてから電話を切る。当たっている確率は七割。しかしそれは、貴志惟には充分な数字だった。

 一方硝は、自室の布団の上にいた。そしてずっと同じことについて考えている。最後にされた、家への質問に対して疑問だ。不良が固まった理由に関しては、本人から聞きたかっただけで、予測の一つもついていないわけではない。ただ、その予測を真実に変えたかっただけだった。だが、家への質問は、その意図から分からない。
 夕方になり、「おなかが減った」とペットのウサギが動き出した。
「あ、ちょい待ってな、パンダさん」
そういって体を起こすと、ふと彼を憂鬱にするものが見えた。この間捨てたはずの手紙だ。それがいま、机の上に残っている。下の燃えるごみの袋に捨てないと、開けてないからと言って母親が出していってしまうということを、すっかり忘れていた。くずかごだと、誰が捨てたのか判別しにくいから彼の母はよく言う。立ち上がって、封筒を再び見た。ピンクの下地に、白い水玉柄のかわいい封筒。どこからどう見ても、女の子が書いたことがわかる封筒。
「嫌がらせかいな・・・」
 薄く見える中身は、四枚くらいある手紙。きっともう、彼女の家には封筒しか残っていないだろう。
 読まない手紙に同情するように薄く笑うと、硝は捨てるべく手紙を持って下に降りた。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷