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Heart of glass

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真面目君と不良少年


 三日目になり、貴志惟も多少あせり始めた。情報はある程度入ってくるものの、まだまだ骨組みしかない。教科書が配布されるということで、大き目の手さげを追加して持ってきているため、カバンの中がパンパンだ。ちなみに昨日パンパンになったふくらはぎの湿布は、もうはずせる状態になった。体だけは丈夫らしい。
 昨日同様、硝の姿はなかった。遅刻常習犯なのだろうか?と考えた貴志惟の前に、また義章が姿を現した。きょろきょろと辺りを見回しながら歩いてきた義章は、昨日と同じように硝の席にためらいなく座る。それから不思議そうな顔で貴志惟に尋ねてきた。
「オクスケ、体調かなんか崩したの?」
「知るかよ。昨日は死ぬほど元気だったがな」
 それを聞いた義章は、「じゃあ見当もつかない」という風に、降参のポーズをとる。義章の心配からするに、貴志惟の「硝が遅刻常習犯である」という推測ははずれているようだ。ふとそこで、貴志惟は義章に尋ねる。
「お前、奥椙と仲いいのか?」
「いや?たまに話すくらいかな。オクスケの付き合いは、浅く広くが主体みたいだから」
 今の硝からは想像できない付き合い方である。今の硝はどちらかというと、深く狭くが今の硝の付き合いの形だ。真逆じゃないかという感想を持った貴志惟に、義章はくすくすと小さく笑ってみせる。まるで想像できないのも当然だというような、しかし嫌味のない笑い方だ。相変わらず、上手な笑い方をする男だ。
「でも、小学部のときは今みたいに、幼馴染み三人だけで集まってたよ。ほかの人にはあまり関心がなかったみたいだね」
 貴志惟が義章から情報を集めていると、チャイムが鳴り出した。義章があわてて席に戻るのと同時に勢いよくドアが開く。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷