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Heart of glass

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「浅井みたいなムードブレーカーには、俺みたいんが必要やろなと思って」
「嫌味もほどほどにしろよ」
「嫌味のつもりないて。親切心親切心」
「・・・余計なお世話って言葉、知ってるか?」
 ねたんだ目を向けてくる貴志惟に、硝は笑いながらわびる。「誠意がない」といいながらも、彼は許してくれたようで、そのままフンと偉そうに腕を組んで視線をそらす。彼は意地悪な性格でも、嫌味な性格でもない。言っておきながらも彼がムードブレーカーなんかではないと、硝はちゃんと解っている。ただ、外見がいかにも不良チックで恐いのだ。つまり、単に近寄りがたいというだけ。それに気付いて止めないのか、気付いていないのか解らないが、それであのコンプレックスもおかしい。
「なんでそないな格好しとんねん」
「お前に教える義務はない」
「もちろん任意や」
 笑いながら貴志惟の言葉を肯定した硝は、彼からひとにらみされる。説得に失敗したと判断した硝は、何もなかったかのように、借りたシャープペンシルの頭を数回ノックした。それと同時に担任が教室に入ってくる。彼は硝を見つけるなり歩いてきて、遅刻の理由を尋ねてきた。貴志惟も気になったので、こっそりと聞き耳を立てる。
「寝坊やないで。途中でカバンが壊れてもうてな?替えなあかんくなって」
 嘘ではないという証拠に、硝は自分のカバンから横が大きく開いてしまったカバンを取り出した。確かにそれは、抱えればいいという状態は越えていて、替えに帰ったというのも納得がいく。が、次の教師の発言もまた理解できた。
作品名:Heart of glass 作家名:神田 諷