小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

表と裏の狭間には 十五話―球技大会―

INDEX|2ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

「わっちの相手をしてくれないと、寂しくて寂しくて…………。」
「夜這いでもかけるか?」
「雫ちゃんを喰べちゃうぞ?」
「レン、埋めるのを手伝ってくれ。」
「了承した。道具を用意するから、それまでに処理を済ませておいてくれ。」
「ちょ、ま、どこから持ってきたのそのナイフ!?洒落じゃ済まないよ!ってスコップって!うわ本当に持ってきたよてオイ鋸!?解体する気!?ちょっと止めてよ二人ともどれだけキレてんの今ので!?」
理子が涙眼で必死に叫ぶ。
仕方がないので俺はナイフを仕込みホルダーにしまい、レンもスコップと鋸を元あった場所に戻す。
「うぅ………もう怒った。紫苑の大事なもの、わっちが両方喰べちゃうもんね!」
「レン、適当にあしらっておいてくれ。俺はシャワー浴びるわ。」
「オーケー。任せてくれ。」
「本気にしてない!?だったら今ここで脱がせて――」
「……理子。いい加減にしたら?」
と、そこで。
礼慈が突然、割って入ってきた。
「……ちょっとやりすぎだと思う。というか、ゆりたちもシャワー浴びに向かった。」
そう言う礼慈は………ちょっと不機嫌そうだ。
どうしたんだろう?
「はいはい。分かったよ。全く礼慈は素直というか外に出やすいというか……。ま、わっちはそういうとこ、嫌いじゃないけどね。」
「……うるさい。というか素直ってどういう意味なんだ?」
「分かってる癖に。じゃ、わっちもシャワー浴びますかね。いい加減気持ち悪いし。」
謎の会話をして、俺たちから離れていく理子。
どこか楽しそうだが……どうしたんだ?
礼慈は礼慈でどこか不機嫌そうだし。
よく分からん。
「じゃ、ボクもシャワー浴びてくるよ。一緒に来るかい?」
「お前も本当に影響受けまくりだよな。それも悪影響ばかり。行くわけねぇだろ。さっさと行って来い。というか雫が襲われないようにちゃんと見てろ。」
「へいへい。じゃ、後でね。」
こんな感じでこの場は解散となった。
のだが。

「キャッホー!りこりこタイム、はっじまっるよー!」
「誰か助けてくださいぃいいいいいいいい!!」
目の前で繰り広げられる理子と雫ちゃんの追走劇。
やれやれ。本当に始まったよ。
まぁ、紫苑の手前ああ言ったが、ボクは止める気なんてさらさらないよ。
雫ちゃん、なんと言うか弄られキャラだしね。
それに、彼女は普段内気だし、ボクたち相手でも遠慮しがちだから、こういうところで思いっきり触れ合って、少しでも打ち解けたほうがいいと思うしね。
……とは言っても、まさか本当に数の暴力で押し倒して服を剥いで乱交パーティー、なんて理子の思惑通りに進めてやる気もないが。
というかその展開になった場合、ボクも喰われる側に回されそうな気がするし。
依然として雫ちゃんは逃げ回っているが、面白がったゆりが『待ちなさい!』なんて言いながら追い始めたし、耀が『お姉様が加勢するなら私も加勢します!』と妨害を始めた。
まぁ、女子なんて実際こんなもんなんだけどさぁ。
胸触ったりとか触られたりとか抱きついたり抱きつかれたりとか、意外と日常茶飯事だったりするんだよね。
まぁ、このメンバーが変だって可能性もあるが。
あ、ボクはそんなことしてないからね?
念のため言っておくけどさ。
そんなことしてるのは耀か理子だけだって。
「きゃぁああああああ!止めてくださいぃいいい!!」
あ、捕まった。
そのままバタン!と倒され、理子に馬乗りになられる。
「さぁーてお食事タイムでっせー!まずは皮むきからねー!」
「きゃぁああああああああああああ!」
なんてノリノリで脱がせてるけど………。
ゆりと耀はもう飽きたのか、さっさとシャワー浴びにいったし。
「ほらほら暴れるなって!よいではないかよいではないか!」
「きゃぁああああああ!きゃあぁああああああああ!お兄ちゃん助けてぇええええ!!」
よいではないかってアンタ誰だよ。
あと雫ちゃん、ここは女子のシャワー室だから、紫苑が助けに来る事はできないよ?
あ、でも場合によっては突入してくるかも。
まぁ、そんなことになったら理子の命はまず無いが。
あーあ。もう下着だけだぜあの子。
「さーて。お楽しみはここからだくふふふふ…………。」
理子がさっきのゆりみたいなオーラを発し始めた。
というか、理子も百合っ気があったのか。
「ちょ、やめ………!レン、助けて!」
「あー、理子、その辺にしたら?紫苑に殺されるよ?」
「むー…………。激しく不満だけど、確かに今死んじゃうのは嫌だしねー。」
理子はまさにしぶしぶといった風情で雫ちゃんから離れる。
「うぅ…………。」
雫ちゃんが真っ赤になって服を手繰り寄せて胸元まで引き上げて必死に下着を隠しつつ小さくなってぶるぶる涙眼で震えている。
これが輝が騒いでいる『萌え』というアレなのだろうか。
これがアニメ化されたらこのシーンはお祭り騒ぎ且つフィギュア化間違いなしだね。
まぁ、そんな予定は金輪際ないしそんな可能性は欠片もないけどね。
ま、これを読んでる酔狂な暇人のイラストレーターがイラスト化する可能性は、無くはないかもしれないが。
ま、要約するとかなり可愛い。
保護欲を誘われる。
ついでに嗜虐欲も。
うん、理子がついつい暴走する気持ちも分からなくはない。
つい襲い掛かりそうになってしまうぞ。
でもそんなことしたら、ボクでも紫苑に殺されちゃうだろうしねぇ?
「ほら、もう大丈夫だよ。」
雫ちゃんの手をとって立たせる。
まだ震えているが、この分なら大丈夫だろう。
さて、ボクもシャワーを浴びないとね。
やっぱり汗臭いのは、女子として………ね。

『きゃぁああああああ!きゃあぁああああああああ!お兄ちゃん助けてぇええええ!!』
……………。
あの野郎。後で解体してやる。
そんな物騒なことを考えながら、シャワーを浴びる。
「この分だと、あと一分くらいで喘ぎ声とか聞こえてくるんじゃないすか?」
隣の個室から輝がそう言ってくる。
「もしそうなったら乗り込んで金属バットで蛸殴りにしてやる。」
「物騒っすねー。」
「というかレンのヤツはどうしたんだ………。」
「とっくにやられてるんじゃないっすかね?」
「生きたまま解体してやる。皆殺し編までの梨花みたいな目に遭わせてやる。というか皆殺し編の梨花だ。麻酔なしで解体してやる。」
「怖いっすねー。」
シャワーの水音と、俺たちの会話と、雫の悲鳴だけが聞こえる。
一つ、かなりおかしなものが混じっているが。
やっぱり、ちょっと襲撃するか?
シャワーを浴び終えた俺は、手早く体を拭いて服を着る。
そうしていると、悲鳴が止んだ。
「……………………。」
俺は、ドアの横にあった金属バットに手を伸ばす。
このまま妙な声とか聞こえてきたら、そのままドアをぶち破って理子を血祭りにあげてやろうと思ったのだ。
「ま、そんなカリカリせんでもゆりが止めるだろ。」
シャワーを浴び終えた煌がそう声をかけてくる。
長身に引き締まっている屈強な体格、そして何よりも金髪。
日本人離れしまくりだし、あの輝と耀の兄とは思えないんだけど………。
あの二人は小柄で、顔もそっくりだし、髪も黒いし。
こいつとあの二人は、全く似ていないんだよな。