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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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Ambassador of chaos K  かなしき記憶

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その頃、熊谷と齊藤は――

「しっかし、今回の事件……難題になりますかね?」
「なんでだい? 犯人は、もう捕まったようなものだよ」
「まさか、もう証拠と動機を掴んだんじゃないでしょうね?」
「証拠は、まださ……でも、動機ならもう掴んだよ」

木村のパソコンではなく、自前のものと思われるパソコンのディスプレイに映し出されている女性の顔をコンコンっと叩いた齊藤だった。

「もう、深夜ですか……齊藤さん、休みます?」
「休まないよ、Kがパソコンの名簿を盗ってくかもしれないじゃないか」
「それもそうですが……少しは休まないと」
「だが……? 熊谷君、パソコン……今、ディスプレイがおかしくならなかったかね?」
「いえ? 別に異常はないですけど……やっぱり、疲れてるんじゃないですか?」
「そう……かもしれんな」
「休んでくださいよ、僕が見てますから」
「頼むよ」

そう言って齊藤は、ソファーに横になった。

「K、齊藤さんが横になったよ……今がチャンスだと思うけど……」
「まだ、向こうのディスプレイが完全に映ってないんだよ……電波ギリギリはやっぱりキツかったな」
「だいぶ侵入進んできてるね、これならいけそうじゃないの?」
「油断は禁物だ、外以外にも罠があるかもしれないんだからな」

そう言っている間にもディスプレイは完全に木村のパソコンのディスプレイを映しだした。

「行くぞ!」

同刻、隣の部屋では熊谷が余裕でコーヒーを飲みながら携帯電話をいじっていた。

「しっかし、Kって本当にこんな電波妨害装置を突破できるのかな? できたらすごいね……その先、僕たちなんにもできないもんね」

そう熊谷が言った時だった、木村のパソコンのディスプレイが勝手に動き出した。

「え……え!?」
「どうした? 熊谷君?」
「齊藤さん! ディスプレイが勝手に動いてます!!」
「Kか!?」

ソファーから起き上がった齊藤は、木村のパソコンのディスプレイを覗き込んだ。

「なんてやつだ、電波妨害装置を突破してやるなんて……」
「どうします? 齊藤さん」
「……策はないよ、なぜなら木村殺人事件が優先だったから……今回は、詰めの甘かった私たちの負けだ」

齊藤は、唇を噛みしめて木村のパソコンのディスプレイをただ、見つめることしかできなかった――