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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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Ambassador of chaos K  かなしき記憶

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昨日、無事に名簿を盗った二人はチェックアウトをしに荷物を持って、ラウンジへ行こうとしていた……その時ある女性が自動販売機の横のソファーでうなだれていたのをSが見つけた。

「どこか悪いところでもあるんですか?」
「い……いえ、ただ辛いことがあって……」
「そういう時は、見知らぬひとにでも辛いこと言ってしまえば楽になりますよ」
「誠一! ほっとけって言わ「ありがとうございます……聞いてくれますか?」

Sは、その女性の隣に座って話を聞き始めた……Kも最初は聞く気がなかったがいつの間にか聞き入っていた。
内容は、彼女に幼少時代の記憶がないということだった――

「悲しいですね、どうやって自分が生まれ育ったのかもわからないって言うのは……」
「せめて、親に愛されていたっていう記憶さえ残っていればよかったんですけどね……」
「悲しいことは、これ以外にありませんか?」
「もう大丈夫です、ありがとうございました……私は、小山 奈美といいます」
「俺は、鈴木 誠一これは、木島 京介」
「これって言うな、これって……」

クスクスっという笑いが小山からが聞こえた――

「ようやく笑いましたね」
「え、あ……すみません、ご迷惑おかけして」
「いや、逆にいい話聞いた……だが、いつまでもそのハンカチの裏が隠せると思わない方がいい」
「え!? 京介……それって、どういうこと?」

Kの言ったハンカチとは、小山が話している最中に流れてきた涙を拭いていたハンカチのことだった――

「気づいていましたか、このハンカチのこと……」
「それ以上口を動かさないほうがいい、あんたも木村のように死ぬ」
「それって、そのハンカチに青酸カリが……」
「ええ、塗られています……木村 貴政を殺したのは私です」
「な……何か因縁でも?」
「因縁というものかどうかわかりませんが、私に幼少時代の記憶がないという話がありましたね」
「それにつながりが……」
「唯一、幼少時代の記憶というか、感情が残っていたんです……それが、ある男の憎しみの感情でした」
「ある男っていうのが、木村だったのか」

小山は、頷いた……その後顔を伏せたままで最後にこう続けた。

「でも、今殺してみた結果……なぜか辛いんです……大人になったら、殺してやるって決めてた男を殺したのに……」
「それは、あなたが人間だからですよ……小山 奈美さん」
「齊藤さん」

いつの間に横にいたのか、熊谷と齊藤がいた。

「小山 奈美さん、殺人容疑で逮捕します」

そう言って、熊谷は小山の両手に手錠をかけパトカーへ乗せて連行いて行った――