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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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Ambassador of chaos K  かなしき記憶

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夕方で西日が路地裏に入ってきたころ、花屋が裏の顔を見せ始める――
裏の世界の格好をした男がカツッという革靴の音をたてて店に入ってきた。

「KとSへお取次ぎをお願いします。」
「俺がそのSだけど?」
「え……あ、ではこれを……」

依頼の内容が書かれた紙がSに渡された。

「どっかの組か?」
「ええ、『松村組』という組の者です。」
「松村……ああ、まっさんの組ね。」
「頭をご存じですか?」
「俺の知ってる組だ」
「なら、この依頼引き受けてくれますか?」
「さぁ? 引き受けるかは「俺が決めることなんでね」

雰囲気を読んだのかKがSのところへ来ていた。

「あなたは?」
「お前の取次ぎ願ったKだよ、S……紙を」
「ほい、まぁKが組合事の依頼は断るときはよっぽどなときだから安心しときなよー」

ポンっと男の肩を叩いてSは、花屋の奥へと姿を消していった。
Kは、紙に一通り目を通して男に顔を向けた。

「引き受けましょう」
「ありがとうございます、報酬は……」
「後でいい、いつ俺が捕まってもいいように」
「捕まることがありうるのですか? あの『混沌の使者』のKが……」
「まぁ、捕まることはあっても証拠不十分で釈放されるだろうな……証拠不十分になる自信は、その俺の別名にあるわけだ」
「混沌だから証拠が見つからない……」
「そういうことだ」

その日、男はまた革靴の音をたてて帰って行った。

「K、また後払いにさせたの?」
「まぁな、全く困ったものだ……年をとるとどうも自信が薄れてくる」
「組の名簿を盗る依頼だろ? 楽勝じゃないか」
「だとしてもだ……いつ何があっても可笑しくないご時世だ」
「念入りなことで」
「数日店を出るぞ、準備をしておけ」
「了解」

ここから彼らの裏の仕事が始まる――