MagicMushRoom
いや、これやばくないか?
何故こんなにドロドロにゆれるのか、わからなかった。
でも大丈夫だ。別に酔ったようになっていないし、ラリってもいない。
そう思っていると、少し寒いかな?と感じてきた。
いや、そんなはずはない。
もう冬だけど、毛布と布団をきちんとかけてる。しかも制服カッターだし下にはシャツも着ている。
下もベルトは取っているが冬用のズボンを履いている。
だから寒いはずは無い。
しかし、体感的にはやっぱり少し寒い。
なんて思ってると、ガチガチガチという音が聞こえた。
ん?
少しして、自分の歯の音だということに気付いた。
本当に寒いと感じているらしい。
やばいという感じがした。
これは思った以上に危ないな。
ユラユラで済むレベルじゃないし、このまま寝て終わりになりそうもない。
そんな風に思ってると、人生で初めての、奇跡的なことが自分の身に起こった!
ゆーっくりとだが、左の肘が勝手に動き出したのだ。
最初は、自分で動かそうと思ったのかな?と錯覚した。それとも、反射的な動きだろうかと思った。いや思い込もうとした。
そうではなかった。
左の肘は、ゆっくりと、けど、決して自分の意思では止められずに動きだした。
グネグネとした動きで、手も、指も、それに釣られて動いてる。
ああ、そうか。
最近全然自分を暖めてなくって寒いから、だからキノコの効果で体を動かそうとなったったんだ。
なる程。
なんて、あれ?思考回路も、少しおかしくなっているような気がする。
すると今度はまた、ゆーーーっくりと右の肘が動きだした。
これはやばいな。勝手に動いてる。キノコによって、勝手に動かされてる。
次は、足の膝が、何かに吊り上げられたように動き始めた。
布団と足が擦れる感覚が、いつもと全然違う。
歯のガチガチは、ガチガチガチというリズムから、カチッカチッと、しだいに間隔が長くなっていき、リズムを取り出している。
この時点で確信した。
ああ、確実におれは操られている。
こんなことがあるんだ。
感動というか恐怖というか、とにかく後に引けないことだけはわかった。
シートベルトを締めて、ジェットコースターに乗って、発進した時の感じ。
とにかくもう後には引けない。
まだ覚悟を決めれてはいなかったけど、事は進行していった。
動かせば動かす程、気持ちよくなっていく感じがした。
しばらくすると、操られている感覚が、お腹から心臓に向かっているような気がした。
いやいやいや、まずいだろ。
心臓まで操られたら。
だって。なんて思ってると、心臓を直にくすぐられたような感覚になって、笑いがこみ上げてきてしまった。
無理矢理身体を乗っ取られて、笑わされているというのがわかったが、
一度笑うと、なんかもうどうでも良い気持ちになってしまって、もう委ねることにした。
後はもう乗っ取られるところと言ったら一つしかなくって、
ついに頭の部分、脳を完全に乗っ取られた。
作品名:MagicMushRoom 作家名:makoto