合コン
「どうぞ。座ってください」
田野倉は笑顔を見せた。
「何を読んでいるんですか?」
「ああ、小説です」
「どうして?」
「暇だからです」
「そうですか。わたしも暇でした」
「奇遇ですね。お互いに暇なら話でもしますか?」
「名案ですね。わたし、藤沢友香です」
「僕は、田野倉誠です」
「ちゃんと話せるみたいですね。ずっと黙っていたから、話すことができないのかと、思っていました」
「実はね、自分でもそう思っていました。でも、話してみたら話せることがわかりました。ありがとうございます」
「えー?!どうしてわたしがお礼を云われるんですか!」
「話ができることを教えてくれたからです」