夢幻双子
「昔、僕は礼依に守られてばかりだった。そして今度は礼依が女のコになって、立場が逆転してしまったかもしれない。でも、僕はもうあんな思いはごめんだし、礼依にもそんな思いをしてもらいたくない。だから、僕は礼依を対等に扱いたいんだ」
え、と驚きに思わず声が上がった。
よく意味がのみこめない。
「「男」か「女」か関係なく、礼依は、礼依だから。第一まだ僕たち、夢器の本当の能力なんて分かってないし。それにね、僕たちの夢器はなんだか他のものとは違う気がするんだ」
由依が言いながら身を起こそうとした。
あわてて押しとどめようとするけれど、苦痛に顔をゆがめながらもなんとか由依がベッドの上に身を起こし、笑う。
「今度二人で確かめてみよう。僕たちの夢器が本当はどんな物なのか」
約束だからと、由依が礼依の手をきつく握り締めた。
身の内に巣くった闇がすべて消え去り、その穴を埋めるように温かな光で満たされるような気分だった。
「うん」
満面の笑みで、礼依はうなずいていた。