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釣った天使

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「な、なにをするぞよ」
危険を感じ、とっさに逃げようとしてソファーから床にずり落ちた体を起こしながらカナエは言った。

「まったくう、仕事もなくなってきているのに、ぐうたらして」
俺がさらに殴る格好をしたのを、手で顔をカバーしながらカナエは「ぐうたら、何?」と中国人の日本語のような調子で言った。
「お金が入ってこなくなるのに、何もしないでテレビばかり観ていることよ」

俺は殴ってしまったことに少しの罪悪感を感じながら、トーンダウンして言った。その気配を敏感に感じ取り、カナエは「どうすればいいのよ」と開き直った。
「金をかせいでこい」
「私しらない、人間じゃない」
「どっからみたって人間のおばさんじゃないか」
「おばんです」
「何、東北のあいさつしてんだ」
「おばはん、おかん」
「やる気あんのか」
「何を」
 俺はだんだん体の力がぬけていくのを感じた。いろいろな答えがあるだろうが、俺は
「出ていってくれ」と言ってみた。
「いやよ、あなたが釣ったんだから」
「普通釣った魚に餌はあげないというぜ、それがばくばく食いやがって」

俺はまたイライラ感がもたげる。
「だから、働けないんだったら、何かお金もうけを考えなよ。元天使なんだから」

カナエは少しだけ悲しそうな顔をして、黙って下を向いた。

作品名:釣った天使 作家名:伊達梁川