SEAVAN-シーヴァン編【未完】
「おまえさぁ、なーんでいっつもそう反応薄いわけ? こっちがせっかく笑わせてやろうとしてるのにさ」
ぼやくイリアだが、その大仰な動作に応えはない。
シーヴァンは寝台から起き上がると、傍らの椅子に放り出されていた制服を手に取り、袖を通していた。イリアと同じそれは今も昔も変わることのない濃紺。ただし、かつては無地だった肩や襟には、今では幾本かの線と星が並んでいる。
「イリア、向こうに動きはあったか?」
上着に袖を通しつつ、シーヴァンは逆に問い掛けた。
イリアは全く表情の変化も見られないシーヴァンに軽く頭を抱えて、目に掛かる前髪を無造作にかきあげた。
「あー、むこうさんは何も反応なし! どうやら徹底抗戦するつもりらしいぜ」
「そうか」
腰に剣を佩き、シーヴァンはイリアの立つ脇を抜けて天幕の外へ出る。
彼の眼前に、小さいながらも古くからの誇りを保ってきた壮麗な城が現れた。きつく門を閉じ、ここに陣を敷く者たちを堅く拒んでいる。
イリアがシーヴァンの傍らに立ち、命の灯火僅かな城を眺めやった。
「あんな兵力でよくやるぜ。やっぱ出るかい?」
「ああ」
短い返答にイリアが目を細め、より一層口の両端を吊り上げた。
「本日正午をもって、反逆組織「リムーア」を殲滅する」
「了解」
イリアが駆け出す。
そのすぐ後に、辺りは地を揺るがすほどの喚声に包まれた。
作品名:SEAVAN-シーヴァン編【未完】 作家名:日々夜