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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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風琴(おばあちゃんのオルガン)

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<風琴(おばあちゃんのオルガン)>

 青い空にぽっかりと白い雲が浮かんでいる。
 今日は朝からとても穏やかな良いお天気だ。
 わたしは、何故こんなに良いお天気なのか、少し悔しい気持ちで空を見上げていた。
 火葬場の煙突からは大好きなおばあちゃんのうす青い煙が真っ直ぐとゆったりと空へ昇っていた……。

 おばあちゃんはこの半年くらい入院生活をしていた。
 でもそれほど身体が悪いわけでは無くて、足腰が弱くなって家で生活するのが大変だから、とお母さんが言っていた。
 病院は近所なので、わたしなどは学校帰りなどにしょっちゅう寄り道をして、おかあさんに怒られたりしていた。
 ところが、おばあちゃんは少し前から風邪をこじらせてしまい、あっという間に亡くなってしまったのだ。
 病院は家の近所なのに寝込んでからはたった三回お見舞いに行っただけだった。
 親戚のおばちゃんなどは「それでも長く苦しまないで良かったよ」などと言って私を怒らせるし。
 又「そうだね」なんて同調するお父さんを許せないと思ったりした。
 小学二年の弟は駐車場の隅の植え込みにしゃがみ込んでアリの巣穴にいたずらをしている。
 弟には今日がどんな日なのかまだ分からないのだろう。
 両親が共働きだった事もあり、六年生のわたしは超が付く程のおばあちゃんっ子だった。
 おばあちゃんは昔、小学校の先生をしていたそうで、何故かは分らないけど、わたしに物心が付いた頃から家には古びたオルガンが在った。
 オルガンって言っても電気で音が出るやつじゃなくて、小学校の教室にある様な足でペダルを踏むものだ。
 実際そのオルガンはどこかの小学校で捨てられそうになったのを貰ってきたのだと、おばあちゃんが言っていた。