カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2
車は綺麗に舗装された道を快適にどんどんと進む。
この綺麗な道路は、アイス・フィールド・パークウエイと言う高速道路なのだそうだ。
ジャスパーからレイク・ルイーズジャンクションまでの約230キロとバンフまでのボウ・バレー・ハイウエイの約70キロ。
計300キロを走るコースは、まさにカナディアンロッキーの真髄。ジャスパー国立公園とバンフ国立公園の二つを貫く高速道路なのである。
バンフまでは、ノンストップで行くとたった3時間で行けると言う。
しかし、今回は観光ポイントの数々を巡って行くので、8時間かけてバンフに到着すると説明してくれた。
ロッキー山脈を左右に見ながら、川に沿って峰々の間を走る。
水の碧さが美しい湖、山と山の間を滑り落ちそうに厚く雪が積もった氷河、そして野生動物たちに出会える絶好の観光コースなのだ。
このハイウエイには路線バスは通らず、商業用のトラックも通れない。
それらの車は遠回りして、普通の道路を時間をかけて走るらしい。何時時間かかるかは忘れてしまったが、相当かかることと言っていた。
ジャスパーからバンフまで3時間は魅力だろうが、この絶好の観光ポイントの環境を破壊しないための配慮だろう。
また、この道路の近くに民家はないから路線バスも必要ない。観光目的ならレンタカーか観光バスでどうぞ、ということだろう。
私たち観光客にも、自然環境を守るための国立公園でしてはいけない厳しいルールがある。そのルールを山本さんは車の中で教えてくれた。
「必ず守ってくださいね」
と。
一つは野生動物に出会っても餌をやらないこと。
人間の食べ物が食べられるとわかったら、食料がなくなると人間を襲うようになったり、体に合わなくて病気になったりすること、また特にキャンプをした場合はゴミ箱にきっちり捨てなければならないこと。
そのゴミ箱も中身を熊に荒らされないように仕掛けがしてあるそうだ。
もちろん、国立公園内でのゴミ捨てはこのゴミ箱以外は禁止。
これは、野生動物と共存するための絶対のマナーだ。
そのことを聞いて、スタンレーパークのアライグマのことを思い出した。
あの時、観光客が投げたピーナツをアライグマは、大事に抱え、両手で洗う仕草をして食べていたっけ。もう人間に慣れてしまって、人間の食べものが食べられると思い込んでいるんだろう。
国立公園でなくても、やはり動物を守るためには餌をあげることはやめようと思った。
あの時、私たちが食べ物を持っていたら、きっとあげていたかもしれない。
お腹を空かせて欲しがってるんだわ、かわいそうにと思っても、食べ物をもらうことは野性動物にとっては、不幸になることなのだ。
もう一つはドライブ中に野生動物に出会っても車から降りないこと。クマは100メートル、鹿のような大型動物は30メートルは離れなければならないルールがあるとのことだ。
また、綺麗な花だから栞にしたいと思っても、記念に湖畔の石を持って帰ろうと思っても、たとえ小さい木の枝だったとしても、それらを傷つけることは自然を破壊することだから絶対禁止なのだ。
そういわれれば、私は絶対守る方だ。
しかし、悲しいことに、このハイウエイを走る間には、そのルールを破っている人を何人か見てしまった。悲しいことだ。
こういうことも、ツアーに参加して厳しく言われたからわかったことであって、レンタカーを借りていたら、ヤギや鹿を見つければ、怖くないから車から降りて近づいていたかも知れない。
旅行から帰って読んだガイドブックの頁にはその注意書きが小さい欄に書いてあった。でも、帰ってから気づくようでは遅い。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2 作家名:ねむり姫